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会計基準で定められた手順により、企業が保有する土地などで簿価から大きく下がった資産の価値を実勢価格に修正。その差額を損失として財務諸表に計上すること。

 企業は、あらかじめ立てた計画に基づいて固定資産に投資し回収することで利益を生み出します。しかしながら競争環境の変化などにより固定資産の価値が大きくその後に下落することは珍しくありません。例えば、バブル期に取得した土地や建物といった資産の価値が簿価から大きく下落するなどです。あるいは、事業環境の変化によって、機械装置やソフトウエアといった生産設備が生み出す価値(キャッシュ・フロー)が想定を大きく下回るケースがあります。

 このように簿価に比べて実際の固定資産の価値が大きく下落したと企業が認識できた時に、直ちにその決算期で簿価を修正しなければならないという会計ルールが新たに定められました。この会計処理を減損会計といい、2006年3月期以降からは全企業に義務付けられています。
 減損会計の対象は固定資産全般であり、代表的なのは土地や建物、生産設備などですが、営業権や知的所有権といった無形固定資産も含みます。

◆効果
再評価に基準を設ける

 減損会計の意義は、固定資産の含み損をどう財務諸表上に表面化させるかについて判定の基準を設けて、恣意しい的な業績操作を防ぐことにあります。

 米国企業では一時期、見せかけのV字回復が相次いだといわれています。経営者の交代当初は土地などの評価減を必要以上に行って多額の特別損失を計上し、次期にはその土地を売却して大きく利益を上げて業績向上させるといった手法が活用されたのです。そこで評価減にも一定のルールが必要だとされたわけです。経営陣にとって自社の状況をより正確に把握できる相乗効果もあります。

 減損会計の処理では、「どう再評価の対象を絞り込むか」といったプロセスに一定の基準があります。適用の是非は、土地や建物であれば概ね簿価から50 %の下落が目安で、営業権の場合は将来にわたって生み出すと期待されるキャッシュフローが取得価額を下回ることが確定的な場合などに減損処理をすることとなっています。

 こうして減損処理を行った場合は、損失の算出方法などを外部に開示する必要があります。

◆事例
63億円の減損を計上

 伊勢丹は減損会計を2005年3月期から実施しました。同期は減損損失を連結で63億円計上。2004年から減損会計のプロセスも公開しています。店舗ごとに将来得られるキャッシュフローが簿価を上回るかどうかを算出した結果、相模原店の38億円をはじめ4店舗が減損の該当になったとしています。

 2006年3月期も静岡伊勢丹などの地価下落による影響を減損し連結で34億円を計上しました。