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通貨や原油などの原資産から派生した金融商品の取引のこと。比較的小さな金額で仮想的に大きな原資産を取引するので、リスクヘッジに用いられる。

 ここ1~2年、原材料の価格が大きく値上がりしています。例えば、鉄鋼や原油の値上がりです。2005年の年初から年末にかけて原油の円建て価格は倍近くに値上がりしました。航空業界など燃料を多く消費する企業の調達コストは急上昇しています。

 こうした物資や金融資産などの価格変動を相殺(ヘッジ)する手段として用いられるのが「デリバディブ取引」です。

◆効果
変動の影響を限定

 デリバディブ取引とは、金融派生商品を扱った取引全般を指します。先物取引やオプション取引などがこれに相当し、対象となる原資産は、為替、株式、商品、債券、金利など。 

 デリバティブ取引の代表例である先物取引はあらかじめ決めておいた期日に現時点で決めた条件で売買を約束する取引です。一定の証拠金を納めることで取引ができます。売買条件は決めているので、決められた期日に値下がりしたものを高く売却できたり、長期的に値上げが見込める商品に関しては安く購入できます。

 こうしたデリバディブ取引によるヘッジには、子会社株式の価値の下落を日経平均先物を取引することでヘッジするといった例があります。あるいは、石油や金属といった資材の価格上昇が見込まれる時に、商品先物を取引することで購入コストの上昇を抑えようとすることもあります。

 同様に、為替レート変動に備えて為替先物を取引するといった取引もよく行われています。

 注意すべきは財テク目的で過大なデリバディブ取引を行わないことです。例えば、1997年に住友商事が2852億円、98年にヤクルトが1057億円の特別損失を計上した例があります。特に住友商事の件は取引担当者が取引内容を隠ぺいして不正に取引を行った末の損失計上であり、多くの経営者にショックを与えました。

 燃料を多く消費する航空業界では、原油先物を売買して燃料費の上昇をヘッジしています。しかし、どの程度ヘッジするかはそれぞれ経営判断次第で、異なっています。

◆事例
ヘッジで収益に差

 全日空は2005年度の調達分の8割超はデリバディブ取引を活用しつつ調達しました。期初の想定原油価格は1バレル当たり57ドルでした。使用燃料を四半期ごとにヘッジする方針でした。一方、日本航空はヘッジを調達の5割にとどめました。期初の想定原油価格は54ドルでした。

 実際には、2005年後半から原油価格は60ドル前後で推移しています。この結果、日本航空の燃料費は前年比約900億円も増加したと見込まれています。一方、全日空は燃料費増加を前年比340億円増(見込み)にとどめることができました。