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2010年までを対象に、国全体のIT活用の施策を示したもの。従来のインフラ整備に対して、国民生活の向上や産業競争力の強化に主眼を置いている。

 政府が掲げる2010年までのIT(情報技術)戦略が1月に明らかになりました。それが「IT新改革戦略」です。これまで、2005年までにIT先進国になることを目指した「e-Japan戦略」「e-Japan戦略II」がありました。IT新改革戦略は、これらの後継で今後5年間の戦略を策定したものです。

 2001年1月に発表されたe-Japanは、光ファイバーなどブロードバンド環境の整備などインフラ整備に力を入れてきました。その一方で、国民が利用する行政サービスなどは成果が上がっていませんでした。IT新改革戦略でITの活用に重点を置いた政策を5カ年計画で実行していくことで、2010年度にはITによる改革を完成させることを目指しています。

◆動向
構造改革を支援

 IT新改革戦略で目玉となっているのが、ITを活用して構造改革を支援することです。具体的には、医療分野の情報化と電子行政の推進です。e-Japan戦略IIでも、医療分野の情報化は重点的に取り組んできましたが、大きな効果は生まれていません。

 今回の戦略では、2011年度までに医療機関から提出されるレセプト(診療報酬明細書)を完全にオンライン化して電子カルテを推進させます。全項目が分析可能なデータ形式にして自身の健康情報をICカードなどに記録させて、自分の健康状態を分析できる環境づくりを目指しています。

 もう1つの構造改革は、電子政府の促進です。2007年度までに国や地方自治体の情報システムのデータ形式を標準化したり、2010年度までに各府省と地方公共団体間を接続するシステムの統合を目指しています。これにより、転居などの際に、各種行政手続きの届け出を一本化できます。国や地方公共団体に対する申請や届け出といった手続きのオンライン率を2010年度までに50%に引き上げることを目指しています。

 さらに、ITの積極的な活用を促すために人材育成にも力を入れます。2010年までに公開企業を中心にCIO(情報戦略統括役員)の設置を促進します。企業内の情報活用を強化するため、2006年度までにITのスキル標準を作成し、社員教育プログラムの導入を促進する予定です。

◆課題
評価指標を設定

 これらを策定したのは、総理大臣を本部長とするIT戦略本部です。すべての施策には、実現に向けた具体的な方策のほかに、申請のオンライン利用率といった複数の評価指標が設定されています。これらの指標を活用してPDCA(計画・実行・検証・見直し)サイクルを回しながら進ちょくを管理します。ただ重点課題である医療分野などはこれまでも取り組んでいながら、成果が上がらなかった分野です。今回の戦略でどのような効果を出すのかが注目です。