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図 FMCでは将来的に,IP化で携帯網と固定通信網を完全に統合(イラスト:なかがわ みさこ)
図 FMCでは将来的に,IP化で携帯網と固定通信網を完全に統合(イラスト:なかがわ みさこ)
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 FMCとは「fixed mobile convergence」の略で,直訳すると「固定通信と携帯通信の収斂(しゅうれん)」となる。つまり,従来は別のものだった携帯通信と固定通信を一つに融合することをFMCと呼ぶ。

 ただし,FMCには標準化団体などの公的な機関が定めた正式な定義は存在しない。このため,FMCについてはさまざまな解釈があるのが現状だ。そうした解釈を整理すると,FMCは,(1)ユーザーに提供をするサービス・レベルでの融合,(2)本格的なインフラ・レベルでの融合——という二つのフェーズに分けられる。

 本来は,(2)を先に進め,そのインフラの上で(1)のサービスを提供するというのがFMCの全体像である。ただ,現在のインフラを作り直すのには時間がかかる。そこで,インフラは現状のままで,運用を工夫することでサービス部分だけでも統合して利便性を上げようという試みが,すでに始まっている。

 従来のインフラを使ってサービスだけを統合するタイプのFMCの代表例に,無線LAN機能を内蔵した携帯電話端末を利用する企業向けサービスがある。屋外では携帯電話として使い,オフィス内では無線LANのIP電話端末として利用するわけだ。こうした端末は,NTTドコモなどが製品化している。このほか,携帯通信と固定通信の料金請求をまとめるというサービスや,携帯電話端末とパソコンのどちらでも利用できる音楽配信サービスも,FMCの一例といえる。

 こうしたサービスがすでに始まっているとはいえ,FMCの最終目的は,携帯通信網と固定通信網の二つの網を完全に統合し,サービスを提供することにある。携帯通信網と固定通信網を一つのネットワークに統合するカギとなる技術は,インターネットの基盤プロトコル「IP」だ。従来は,携帯通信と固定通信にそれぞれ異なるプロトコルを使っていたが,それらのプロトコルをIPに統一すれば,一つのIPネットワークで両方のサービスを提供できるようになる(図)。

 また,IP化でさまざまなアクセス回線が使えるようになるというメリットもある。固定アクセス回線であるADSLやFTTH,無線アクセス回線である現行の第3世代(3G)や次世代の携帯電話などを一つのIPネットワークに収容できるようになるわけだ。

 インフラ統合の実現には,IPのほかにもう一つ重要な技術がある。それはIP上で動作するアプリケーションを統一的に制御するための制御プロトコルである。このプロトコルについては,,「SIP」(session initiation protocol)をベースに,新しい仕様が検討されている。SIPはおもにIP電話の呼制御に使われているが,その仕様を拡張し,携帯電話と固定電話の両方を統一的に扱えるようにする。さらに,電話以外のマルチメディア・アプリケーションの制御も実現する計画である。

 現在,FMC向けの新しい制御プロトコルとして,「IMS」(IP multimedia subsystem)と「MMD」(multimedia domain)の二つが検討されている。それぞれ「3GPP」と「3GPP2」という別の標準化団体が中心となって標準化作業を進めているが,お互いに密接な連携を取り合うことで,仕様の中身はほぼ同じものになる予定だ。

 IPとIMS/MMDを利用することで,携帯電話と固定電話だけではなく,データ通信向けの携帯および固定回線サービス,インターネット接続サービス,テレビ放送なども一つのIPネットワークで提供できるようになる。これらのサービスを統一的に提供するIPネットワークは「NGN」(next generation network)と呼ばれる。NGNはITU-T(国際電気通信連合の電気通信標準化部門)で標準化が進んでいる。

 

携帯電話と固定通信の融合を表す「FMC」は何の略でしょうか。