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図 ベスト・エフォート型のサービスではQoSと違って通信品質は保証されない
図 ベスト・エフォート型のサービスではQoSと違って通信品質は保証されない
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 ベスト・エフォートとは,通信サービスで品質については保証しないことを指す言葉である。通信サービスに関する記事を読んでいると「ベスト・エフォート型のサービス」という記述をよく見かける。このベスト・エフォート型のサービスでは,基本的に個々のユーザーの通信のことは何も考えない。パケットは,ネットワークが込んでいれば遅れて届くし,廃棄されてしまう可能性もある。へたをすると,混雑しすぎてまったく通信できなくなる危険もある(図)。

 ベスト・エフォート(best effort)とは,そのまま訳すと「最善を尽くす」という意味になる。このため,ベスト・エフォート型のサービスというと通信速度などの品質をできる限り落とさないように努力しているサービスというイメージを持つかもしれないが,意外にも実際の意味としてはほとんど逆である。

 もちろん,ベスト・エフォート型のサービスがパケットをわざと遅らせたり廃棄するようなことはない。なるべく最短経路で届くように中継してくれる。途中にあるルーターやスイッチなどの通信機器は,処理し切れないからといっていきなり捨てはせず,ある程度まではバッファにためてくれる。やむを得ずパケットを廃棄した場合,そのことを送信元に通知するしくみが用意されているケースも多い。

 つまり,まったく努力しないというわけでは確かにない。ユーザーの立場からすれば,自分の通信に対して特別な何かをしてくれるわけではないけれども,「ネットワーク全体としてはそれなりにがんばってはいますよ」というサービス提供側の主張がベスト・エフォートの意味だ。

 ベスト・エフォートに対する用語として「ギャランティ」がある。このギャランティを実現する技術がQoS(quality of service)だ。日本語では「サービス品質」と表記する。QoSでは,特定の通信や端末などを優遇し,逆にそれ以外は冷遇することで通信品質に差をつける。要するに“えこひいき”をするのだ。

 代表的なQoSの実現方法は二つある。一つは,ルーターなどに届いたパケットに対して,ヘッダーに書かれている情報を基に処理する順番などを変える「優先制御」。キューと呼ぶパケット蓄積用のバッファを複数用意して処理の優先度に差をつけるのが一般的だ。もう一つは,利用する回線で特定の通信用に一定の帯域を確保して,それ以外の通信と差をつける「帯域制御」である。

 QoSが使えるのは,基本的に社内ネットやプロバイダ内に閉じたネットワークだけ。インターネットのような公衆ネットワークでは,基本的にすべてベスト・エフォート型の通信になる。