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図 ワイヤレスでは再送時のロスを省きTCPスループット低下を防ぐ
図 ワイヤレスでは再送時のロスを省きTCPスループット低下を防ぐ
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 ワイヤレスTCPは,TCPのオプションとなっている機能を組み合わせて規定した無線通信向けのプロトコル。電波状況によって速度が左右される無線通信において,できるだけ高いスループットを維持することを目指したものだ。

 2006年2月に,ウィルコムがPHSのデータ通信サービス「AIR-EDGE」を高速化する技術の一つとしてワイヤレスTCPの導入を発表している。特徴は,1.TCPのSACK(選択確認応答)オプションで再送処理を効率化,2.TCPセッションの分割,3.上り通信の効率化──という三つ。これらの中でワイヤレスTCPの中核となる機能が,1.のSACKオプション。これは,通信エラーが起こったときの再送方法を変えるものだ。

 TCPは受信時にエラーが起こると再送するしくみになっており,エラーが発生するとそれ以降の送信済みデータをすべて送り直すので,スループットが低下する(図)。無線通信の場合,電波状況が頻繁に変わることでエラーが発生しやすい。こうした環境でTCPを使うと,再送中のデータに再度エラーが発生するケースもあり,スループットはさらに落ちる。一方,SACKオプションでは,エラーが発生した部分のデータだけを再送する。ロスしたデータだけを送り直すので,再送時間が短くなりスループットの低下を抑えられる。

 ウィルコムがワイヤレスTCPを使うのは,端末から,ウィルコムのパケット網とプロバイダをつなぐ部分まで。その先のインターネットでは従来通りTCPで通信する。このため,ウィルコムのパケット網とプロバイダのネットワークをつなぐゲートウエイがワイヤレスTCPに対応しなければならない。今のところワイヤレスTCPに対応しているプロバイダはウィルコムのPRINのみ。他のプロバイダは順次対応予定という。端末側は,SACKオプションに対応しているOSが必要。Windowsでは,Windows 2000/XPが対応している。