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キャッシュ(現金)の流れを重要な指標と位置づけ、「現金利益を稼ぎ出す能力」の拡大を目指す経営手法。不動産や株式などに投資せずに、キャッシュを増やすことによって、既存事業の拡大や新規事業への投資に備えるような経営体制を指す。企業のキャッシュ状況は、財務諸表の1つとなった「キャッシュフロー計算書」で公表される。

 「少し前まで業績が良いと聞いていたのに。まさか、あそこが倒産するなんて」——。新聞や雑誌で取り上げられるような大企業のみならず、取引先の有力企業や近所の老舗といった身の回りでも、「まさか」と思えるような倒産が増えてきました。

 もちろん、景気が良くない現在、倒産の憂き目にあう企業は増えています。しかし、それを割り引いて考えても一昔前に比べて、業績を伸ばしていて優良だと思っていた企業の倒産が増えているのではないでしょうか。こうした状況を解き明かすキーワードが「キャッシュフロー」です。

◆効果
真の実力を測る指標に

 それでは業績の良かった企業の倒産はどうして起こるのでしょうか。企業の業績を外から判断する場合、バランスシート(貸借対照表)がより所になります。しかし現在、これだけでは企業の台所事情は判断できなくなりつつあるのです。

 この典型例が、在庫の問題です。企業が抱える在庫は、バランスシート上は資産として管理されます。最終的に想定通りの価格で出荷されるのであれば、企業にとっては財産と考えられます。しかし、製品のライフサイクルが短くなった今では、どこの企業も在庫の削減に血道を上げています。過剰な在庫は、確実に不良債権に変わってしまうからです。バランスシートのうえでは業績の良い企業も、過剰在庫の叩き売りを行った時点で業績が悪化しかねないのです。日本で大問題となっている金融機関の不良債権問題も構図は同じです。

 この例のように、経営環境の変化が激しい時代には、バランスシートでは企業の実力を測れません。ここで、バランスシートに代わる指標として浮上してきたのがキャッシュフローです。

 企業に出入りする現金の流れを把握することで企業の実力や健全性を見極めようというのが、キャッシュフローを管理する原点です。そして、キャッシュフローを重要な指標と位置づけた経営手法がキャッシュフロー経営です。2001年4月に始まった会計年度からキャッシュフロー計算書の作成が義務づけられたことによって、日本でも大きな注目を浴びることになりました。

◆事例
200億円投じキャッシュフロー改善

 基幹業務システムを再構築中の富士ゼロックスでは、システム導入の大きな理由としてキャッシュフローの改善を掲げています。

 本社と国内外の工場、全国の販売子会社で需要予測や財務・在庫・物流・顧客情報などを一元的に管理することによって、2006年までに累計450億円の経費削減と160億円のキャッシュフローの改善を目指しています。このシステムへの投資額は約200億円にも上ります。

吉川 和宏 kyoshika@nikkeibp.co.jp