PR

経済付加価値と訳す。企業が事業に投資した資金から得た儲けが、株主や銀行からの資本調達コストを上回っているかを測る経営指標の1つ。世界的な株主重視の傾向が強まるにつれて注目を集め、国内外で導入する企業が相次いでいる。EVAは米スターン・アンド・スチュワート社が開発したもので、同社の登録商標。

 国内では花王やソニーなどが導入したことで注目を集めたEVA(経済付加価値)を、業績評価指標として採用する企業が相次いでいます。連結重視の会計制度の改革などをきっかけに、国内でも株主重視の姿勢を強める企業が増えていることが大きな理由です。

 このEVAを簡単に説明すれば、株主が期待する利益を確保できているかで、企業の業績を評価する指標です。税引き後の営業利益から「資本コスト」を差し引いた実際の金額で表します。ここで言う資本コストとは、企業活動に必要な資本(資金)の調達コストのことです。具体的には株主への配当金や、銀行借り入れといった負債分の利払いなどの合計額になります。

 こうして計算するEVAがプラスになっていれば、株主の期待する以上の価値を、その企業は生み出せていることになります。

◆背景
株主軽視の経営では立ち行かない

 これまで国内においては、銀行やグループ企業による持ち合い株が多く、いわば“モノ言わぬ株主”が多数を占めるケースも珍しくありませんでした。また、いったん調達した資本にコストがかかっているという意識が希薄だったとも言われます。

 こうした状況があったため、本来は自社の“持ち主”であるべき株主の軽視と取られかねない経営を続ける企業が少なくないのが実情でした。また株主自身が、配当利回りより株価の値上がりによるキャピタル・ゲインを重視する傾向が強かったという指摘もあります。

 しかし保有株式の時価評価制度の導入や、市場からの直接金融の拡大、さらに会計制度のグローバル・スタンダード化などによって、こうした日本的な経営は大きな壁に直面。その脱却が大きな課題になっています。EVAの導入は、経営者自身が本当に株主重視の経営が実現できているかを測る物差しになります。

◆事例
経営システムに組み込め

 もちろん、EVAは評価指標に過ぎませんから、自社の経営システムの中に上手く採り入れなければ、本当の意味での株主重視の経営は実現できません。

 例えば99年4月のEVA導入から2年が経過した花王では、全社員を対象にEVAの目標に対する達成度と賞与を連動させる制度を採り入れています。ともすれば個々の社員には無関係と捉えられがちなEVAの改善を、社員それぞれが常に意識し、業務の効率化や改革につなげていくことが狙いです。

 HOYAや松下電器産業、三和シヤッターのように、EVAの基本的な考え方を採り入れつつ、現場の社員が理解しやすいよう自社なりに算出方法を簡易化する企業も増えています。

安倍 俊廣 toshiabe@nikkeibp.co.jp