PR

IT(情報技術)を利用して、業務における様々な事務手続きを効率化し、住民の利便性向上を図った地方自治体のこと。全国3300の自治体を対象に、中央省庁と結ぶ総合行政ネットワークや、住民基本台帳ネットワークの整備が進んでいる。電子政府計画の一環として、中央省庁と歩調を合わせ、2003年度の完了を目指している。

 住民票や印鑑証明、戸籍抄本や納税証明書の取得。転入転出の届け出、保育所や介護保険利用の申請。個人生活のなかで地方自治体の役所に出向かなければならない機会は案外多いものです。しかし役所は通常、平日の朝から夕方までしか開いていません。できれば勤務時間中にわざわざ行かずにネットで済ませたいと誰しも思うでしょう。

 中央省庁の電子化と併せて、全国約3300の地方自治体を対象にした「電子自治体」計画が進行しています。昨年11月に策定された「IT基本戦略」では2003年までに電子政府を実現することをうたっていますが、この対象のなかには中央省庁だけでなく地方自治体も含まれています。

 さらに今年1月に策定された「e-Japan戦略」は「国は、地方公共団体の先進的な取り組みを支援し、業務の見直し状況、住民活動・企業活動への効果等を検証するとともに、他の地方公共団体への展開を奨励する」としています。

◆効果
住民と役所双方にメリット

 電子自治体の青写真は、次のようなものです。

 まずサービスの利用者である住民にとっては、ほとんどの手続きがインターネットを通じて可能になります。各種の申請、届け出、証明書発行、税金の申告、手数料などの支払い、公共施設の予約、情報照会などです。役所側の仕組みとしては電子文書の改ざんを防止しながら管理し公開する文書管理システム、迅速な事務処理のためのワークフロー処理システム、電子入札システムなどです。

 これにより、例えば東京都の「電子都庁推進計画」では、窓口への往復が不要になるため都民の「可処分時間」が年間1162万時間創出され、交通費が21億円削減できるうえ、都職員の可処分時間が250万時間創出され、コストを18億円削減できるなどの効果を想定しています。

◆課題
不十分な個人情報保護への合意形成

 電子自治体の基盤とされるのが住民基本台帳ネットワーク(住基ネットワーク)とICカード(住民基本台帳カード)です。住所、氏名、住民票コードなどを記録したICカードを住民が携帯することで、どこの自治体からでも住民票の写しを取得できたり、行政機関に対する本人確認情報の提供が簡素化されるなど住民の利便性が高まるとされています。運用開始は来年8月の予定です。

 ただ住基ネットワークに関しては以前から、国民総背番号制につながるといった根強い反対があり、東京都杉並区のように対応を拒否している自治体もあります。目的外利用の禁止措置やセキュリティ対策など、個人情報保護への取り組みについてもっと国民に情報を公開し、十分なコンセンサスの形成を目指すべきです。

秋山 知子 takiyama@nikkeibp.co.jp