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図 高画質コンテンツを非圧縮で伝送するWirelessHD 60GHz帯のミリ波を使う無線通信規格。
図 高画質コンテンツを非圧縮で伝送するWirelessHD 60GHz帯のミリ波を使う無線通信規格。
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 WirelessHDとは,家庭内で映像や音楽などのAVコンテンツを伝送するための無線通信規格である。ソニー,松下電器産業,NEC,韓国サムスン・エレクトロニクスなど7社が結成したコンソーシアム「WirelessHD Interest Group」で規格化が進められており,2007年春ころに最初の規格が固まる予定だ。

 最近のDVDレコーダーやテレビなどのAV機器は,機器間の接続用にHDMI端子という有線インタフェースを備えるようになってきた。しかし,機器を設置して相互に接続するにはユーザーがケーブル配線する必要があり,手間がかかる。

 それに対して無線インタフェースなら配線の煩わしさはない。高画質コンテンツを非圧縮で送れるうえ,「購入してきたAV機器の電源を入れたらすぐつながる」という簡単な設置を実現するのがWirelessHDの狙いだ。

 WirelessHDでは60GHz帯という高い周波数の電波を使う(図)。30G~300GHzの電波は波長がミリメートル単位になるため「ミリ波」と呼ばれる。日本では59G~66GHzを免許不要で利用できる。

 このようなミリ波に家電メーカーが注目した最も大きな理由は,広い帯域が使えるから。「ケーブルを使わずに高画質な映像を非圧縮で送るのに向く電波を考えたとき,無線LANで使われている2.4GHzや5GHz帯やUWBでは帯域が足りなかった。そこで,免許が不要で広い帯域を使える60GHz帯のミリ波を採用することにした」(ソニーの中島 康久・テレビ・ビデオ事業本部技術企画部担当部長)。

 実は,ミリ波で使える広い帯域は,HDMI端子に対する不満も解消するという。「HDMIには対応機器同士を相互に制御する機能があるが,制御信号をやりとりするデータ伝送速度が遅い。WirelessHDならば最大40Mビット/秒の制御情報をやりとりできるので,さまざまな付加機能を実現できるだろう」(ソニーの中島担当部長)。

 ただし,ミリ波は使い勝手のよい電波というわけではない。電波の直進性が高く,伝送路の途中に金属や人体などの障害物が入ると通信できなくなってしまうからだ。また,十分な速度で通信できる距離は数メートル程度になる。これらの特徴から,ミリ波を無線LANのように使うのは難しい。現在ミリ波を使うシステムとして実用化されているものは,車間センサー(レーダー)など一部に限られる。

 こうした制限を持つミリ波だが,家庭内で使えるめどが立ってきた。障害物で伝送が途切れるという問題は,アンテナ技術の改良でクリアできそうだ。複数のアンテナで電波を送受信することで,障害物を検知したら壁に電波を反射させるなどして確実に電波を届けるように制御する。

 これらの工夫で,WirelessHDの最初の仕様では,最大10メートル程度の距離で2G~5Gビット/秒の伝送速度を実現するという。