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 デジタル・コンテンツの保護のために,デジタル・データに付加される情報。これにより,デジタル・コンテンツのコピーや移動が制限される。

 ワンセグ放送においては当初,コンテンツ保護のためにCAS(Conditional Access System:限定受信システム)を導入する予定だった。つまり,BSデジタル放送と同じように,B-CASカードという専用カードを受信機に取り付けないと電波を受信しても画面に表示できなくなる予定だった。

 ところが現在のワンセグ放送では,CASの導入は見送られ,デジタルコピー制御情報によるコピー制限と録画する携帯電話機の内蔵メモリーへのコンテンツ保護機能だけが実装されている。具体的には,ワンセグ対応携帯電話機でワンセグ放送を録画することはできるが,録画した番組をメモリー・カードへコピーしたり移動したりできない。

 デジタル放送におけるコピー制御情報は,MPEG-2で伝送されるストリーム・データ内にデジタルコピー制御記述子として設定される。コピー制御記述子として書かれるコピー制御情報はCCI(Copy Control Information)と呼ばれ,「Copy Free:無条件でコピー(録画)可」「Copy One Generation:1世代のみコピー(録画)可」「No More Copies:1世代コピー(録画)後にコピー禁止」「Copy Never:コピー(録画)禁止」の4モードがある。ワンセグ放送は,このうちの「Copy One Generation」がセットされ,運用されている。

 2006年5月の運用規定改定で,2005年10月に4C Entryにおいて策定されたSD-Videのコンテンツ保護技術(CPRM Specification, SD Memory Card Book, SD-Video Part, Revision 0.95, October 31, 2005)が,新たにコピー制御の1つとして地上デジタルテレビジョン放送運用規定(ARIB TR-B14 2.8版)に追加された。これにより,ワンセグ放送をコンテンツ保護機能が搭載されたSDメモリー・カードへの録画と移動が可能になる。例えば,この6月に発売されたボーダフォンのワンセグ対応携帯電話機のように,SDカードへダイレクトにTS形式で録画できる。今後はこうした端末が増え,長時間録画ができるようになるだろう。

 一方,現状の地上デジタルテレビジョン放送は「Copy Once」として運用されているため,番組をハードディスク・レコーダーに録画すると,その時点で1世代目としてハードディスクへコピーされたことになる。このため,ほかのメディア(DVDなど)へコピーすることはできない。DVDなどにコンテンツを移すと,ハードディスク・レコーダーのから番組が削除されてしまう(図1)。


図1 現状のデジタルコピー制御の運用

 なお,このデジタル放送のコンテンツ・コピー制限は,2005年7月に総務省に提出された「地上デジタル放送の利活用の在り方と普及に向けて行政の果たすべき役割」の第2次中間答申で見直しが提案され,機器メーカーや放送事業者などが検討を始めている。そして,2005年12月にJEITA(社団法人電子情報技術産業協会)から,現状の「Copy Once」から,「出力保護付きでコピー制限無し(EPN:Encryption Plus Non-assertion)」へ変更するように提案が出た。この新方式EPNによる運用では,すべての送出信号に暗号処理を施して,EPN対応の機器でしか再生できなくする。ただし,対応機器であればDVDなどへダビングすることは自由で,コピーの回数制限もなくなる(再生には対応機器が必要)。