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文・石井恭子(日立総合計画研究所社会システム・イノベーショングループ 主任研究員)

 CIO補佐官とは、政府や地方自治体のCIOを補佐する専門家で、特に業務/システムの最適化について具体的な方策について検討し助言する役割を担う人材のことです。このような専門的な知見は民間に蓄積があることからことから、CIO補佐官に民間人を登用することが多いようです。また、政府や地方自治体では、ITに関する責任体制を明確にするために幹部をCIOに任命していますが、こうした幹部が必ずしも専門的な知識を有していないことから、CIO補佐官が必要になっていると言えます。

 政府では、2003年7月の「電子政府構築計画」で各府省におけるCIO補佐官の設置とCIO補佐官などによる連絡会議の開催を決定しました。当時、いわゆるレガシーシステムに対する批判が高まり、民間も含めて強力に最適化計画を推進する必要があったことも背景にあると考えられます。

 各府省のCIO補佐官は、2004年2月以降議論を重ね、月1回程度の連絡会議において最適化計画の進め方について助言してきました。その活動を通じて、例えば個別の業務を最適化しただけでは根本的な問題が解決しない、現在最適化の対象になっていない業務を共通化する必要があるなどの課題が明らかになりました。そこで、こうした課題に対して具体的解決案を提案することを目指し、2005年7月に連絡会議の付属組織として5つのワーキンググループを設置することになりました。その5つとは(1)全体最適化、(2)ITガバナンス、(3)最適化実施及び実施の評価、(4)情報セキュリティ、(5)情報技術、になります。それぞれのワーキンググループは、2005年12月20日の連絡会議において、検討結果に基づいて提言を発表しています。

 都道府県を中心とした地方自治体においても、最適化計画などを推進するために民間から専門家としてCIO補佐官を採用する団体が増えています。しかし、例えば岐阜県などのように、民間IT企業出身者を任期付職員として採用しているケースもあり、CIO補佐官という名称は同じでも、地方自治体の場合は政府のそれとは雇用形態や権限、期待される役割や位置づけの面で必ずしも同じとは言えません。従って活動の範囲や活躍の度合いは地方自治体によって異なるようです。

 政府や地方自治体にとって、民間の専門家がCIO補佐官として行政に関わることのメリットは3点挙げられます。メリットの第1点目は、専門的な知見を効率的かつ効果的に取り入れることができることです。メリットの第2点目は、民間における関連手法や技術の最新情報を得ることができることです。メリットの第3点目は、行政組織の内部の利害関係を超えた大局的な見地からの助言を得ることが出来ることです。

 一方で、CIO補佐官の持つ専門性が行政に十分に活かされ、最適化の取り組みが成功するためには3つの条件があると考えられます。

 条件の第1は、助言を実行に移す仕組みを確立することです。政府のCIO補佐官は、現状では強制力や予算などの権限を持っていません。従って、助言を確実に実行に移し、PDCAサイクルを確立するための仕組みが重要となると考えられます。IT新改革戦略に基づき、政府は2006年4月に府省横断的な調整機能を持つPMO組織「電子政府推進管理室」を設置しました。これによりCIO補佐官の助言がより有効に機能することが期待できます。

 条件の第2は、中立性の確保です。CIO補佐官は、全体最適の観点から政府や地方自治体を見る必要があり、そのために中立性を確保することが非常に重要であると言えます。

 条件の第3は、ITのシステム改革だけでなく、業務改革も同時に実施していくことです。日本の最適化は、レガシーシステムの見直しに重点が置かれてきましたが、今後は部門間で重複する業務を統廃合するために必要となる業務の可視化とプロセスの見直しを行っていくことが不可欠と考えられます。