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文・高畑 和弥(日立総合計画研究所電子政府プロジェクト・リーダー)

 これまで多くの地方自治体は、個別の業務単位でシステムを導入してきました。そのため、システム間の連携が困難となり、各業務のシステムが類似した機能を重複して保有するという問題を抱えています。近年、IT投資の費用対効果の向上が求められる中で、各業務のシステムを連携させることでこうした機能の重複を排除し、庁内システムの全体最適化を図る必要性が高まっています。

 「地域情報プラットフォーム」は、地方自治体のシステムを連携させるための仕組みとして、総務省が主催して2003年12月から2005年3月にかけて計6回開催された「地域における情報化の推進に関する検討会(座長:齋藤忠夫東京大学名誉教授)」の中で提言された共通基盤です。地域情報プラットフォームでは、SOA(サービス指向アーキテクチャ)やXMLなどの技術を活用することによって、プラットフォームやデータ形式などが異なるシステム間でのシームレスな連携が可能となり、類似したデータや機能の重複を排除することができます。

 また、各業務のインタフェースの標準化によって、システムを柔軟に変更・拡張できるようになるため、特定の事業者に依存しないシステム構築が可能です。このため、地域情報プラットフォームの導入が、汎用機を中心としたレガシーシステムから、サーバーとパソコンからなるオープンシステムへの移行や、ASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)採用の契機となって、システム関連経費の低減に貢献することも期待されています。

 地域情報プラットフォームの導入は、住民や民間企業にとっても大きなメリットがあります。例えば、システム連携が容易になることで、住民サービスの質の向上が実現します。例えば、複数の部門にまたがる行政サービスを一つの窓口で受け付けて処理するワンストップサービスの実施や、災害時の地方自治体間の情報共有などです。

 また、地域情報プラットフォームは同じ自治体内部のシステム連携だけでなく、複数の地方自治体間のシステム連携や、病院、金融機関、電気・ガス会社など地域内で一種の公的役割を担う民間組織とのシステム連携も目指しています。これによって、官民連携ポータルなどの新たなサービスを民間企業が開発・提供することが可能となり、新たなビジネス拡大につながることも見込まれています。

 地域情報プラットフォームの仕様の策定は、2005年10月に産官学連携により設立された全国地域情報化推進協議会(2006年5月15日に財団法人全国地域情報化推進協会に改組)が推進して来ました。2006年4月には「地域情報プラットフォーム基本説明書(V1.0)」が発表されました。

 2006年度中には、単独の地方自治体内でのサービス連携を対象とした「地域情報プラットフォーム仕様書 V1.0」が発表され、同じく2006年度中に電子自治体のワンストップサービスなどの実証実験が行われる予定です。さらに、2007年度には、複数の地方自治体や民間企業を含めた広範囲でのサービス連携を対象とした「地域情報プラットフォーム仕様書 V2.0」が発表され、官民連携サービスなどの実証実験が行われることになっています。

 東京都江戸川区や千葉県市川市のように、地域情報プラットフォームの仕様に合わせて、情報システムの再構築を計画している団体も登場しています。例えば、市川市のWebサイトでは、システム再構築の支援業務に関する提案の募集を開始していますが、そこには「平成18(2006)年度から4年間かけて、現在の情報システムを、全国地域情報化推進協会の地域情報プラットフォームの考えに基づいた情報システムに再構築する」とあります。