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売り上げをいつどう計上するかを定めた会計ルールのこと。数字の厳正さを保つ根幹を成す。ソフト業界の実務運用指針策定など厳格化の動きがある。

 企業活動においていつどう売り上げを認識するかについては、詳細に定義しないと曖昧なままの領域がたくさんあります。

 そこで、売り上げを計上する基準を厳密に定めたルールのことを「売上計上基準」または「収益認識基準」などと呼びます。

 例えば建設業界において、1年以上の長期工事で建物を作っているプロジェクトは、どの段階で売り上げを計上するかという問題があります。日本では「工事完成基準」と「工事進行基準」の2通りのルールが認められています。

 完成基準とは文字通りに、完成後に収益を一括計上するものです。

 これに対して、進行基準は会計の決算時に工事の進行状況に応じて完成工事高を計上するルールです。

数字の曖昧さを無くす

 こうした売上計上基準の順守は、2002年7月に米国で制定された企業改革法(サーベンス・オクスレー法=SOX法)対策においても重要です。

 日本版SOX法は2008年にも施行されるといわれるだけに、従来の会計方針では曖昧だった売上計上基準をより厳密なものへと見直す動きが国内でも活発になっています。そうした検討結果によっては企業は社内の経理ルールを再検討し、会計システムの修正を迫られることになります。

 その好例が、最近公表されたソフトウエア業界の売上計上基準の厳格化の動きです。監査法人や証券取引所、民間企業、大学など各界の会計専門家が集まる企業会計基準委員会は今年3月30日に「ソフトウェア取引の収益の会計処理に関する実務上の取扱い」を公表しました。

安易な売り上げ増額を禁止

 この実務指針で話題になっている新基準の1つに「物理的にも機能的にも付加価値の増加を伴わない取引は、転売取引と同様に収益を純額で計上する」というものがあります。

 多段階の下請け構造があるソフト業界では、発注元と下請けソフト開発会社の中間に入って伝票が通過するだけで取引総額を売り上げに計上するソフト会社が珍しくありませんでした。しかし、今回の実務指針では、そうした取引の売り上げは手数料収入のみの計上に限定されます。

 これは「日本ソフト業界の産業規模が縮小するのではないか」との声が一部から挙がるほどの影響をソフト業界に与えています。このほかにも、検収書をユーザーから受け取っていないのに売り上げを計上する業界の慣習を禁じる項目などが設けられました。

 2007年4月以降の事業年度から、この新基準に基づく会計と監査が行われる予定です。