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文・高畑 和弥(日立総合計画研究所 知識情報システムグループ 副主任研究員)

 2007年4月5日、IT戦略本部は「IT新改革戦略 政策パッケージ」を決定しました。2010年度までの国家IT戦略「IT新改革戦略」(2006年1月策定)で掲げた目標達成のための取り組みを加速させることを目的として、今後のIT政策に関する基本的な方向性を取りまとめたものです。

 これまでもIT戦略本部は、e-Japan戦略、e-Japan戦略IIなどのIT基本戦略をベースとした上でIT政策の方向性を示したものを政策パッケージの形で策定してきました。「e-Japan戦略II加速化パッケージ」や「IT政策パッケージ-2005」などがその例です。今回の「IT新改革戦略 政策パッケージ」は、IT新改革戦略に基づいた最初の政策パッケージであり、安倍政権発足後初のIT政策でもあります。

 具体的には、「IT新改革戦略の加速につながるドライビング・フォースとなり、また、わが国の新しい可能性を切り拓く改革や創造のエンジンとなる政策」をIT戦略本部主導で推進することを目指しています。

 「IT新改革戦略 政策パッケージ」は三つの政策目標に基づいた重点政策群で構成されています(表)。その大きな特徴として、IT化の恩恵を国民が実感できることを重視している点が挙げられます。

 例えば、自動車同士の通信によって事故を防止する「安全運転支援システム」の実現、医療機関が管理している健康情報などを国民が自ら管理することができる「電子私書箱(仮称)」の創設など、重点政策として取り上げられた多くの取り組みが国民生活に密接に結びついたものです。

■表 政策パッケージにおける政策目標と重点政策
政策目標 重点政策
効率性・生産性向上と新価値の創出
  • 国・地方の包括的な電子行政サービスの実現
  • ITによるものづくり、サービスなど経済・産業の生産性向上
  • ICT産業の国際競争力強化等
健全で安心できる社会の実現
  • 国民の健康情報を大切に活用する情報基盤の実現
  • 国民視点の社会保障サービスの実現に向けての電子私書箱の創設
  • 交通事故の削減に資する世界に先駆けた安全運転支援システムの実現
  • ネット上の違法・有害情報に起因する被害の抜本的減少を目指した集中対策の実施
  • ワーク・ライフ・バランスの実現のためのテレワークの推進
創造的発展基盤の整備
  • 多様なサービスを安全かつ簡易に利用できる次世代モバイル生活基盤の構築
  • いつでもどこでも誰でも恩恵を実感できるユビキタス・コミュニティの実現
  • 高度IT人材の好循環メカニズムの形成
資料:IT戦略本部

 電子政府・電子自治体に関する取り組みについては、第一の政策群「効率性・生産性向上と新価値の創出」の中で、「国・地方の包括的な電子行政サービスの実現」という形で取り上げられています。そこでは、国・地方自治体・民間の手続きを連携させることによるワンストップサービスを推進し「第2世代の電子行政サービス基盤の標準モデルを2010年度を目途に構築すること」などが実現すべき目標として掲げられており、やはり国民の実感を重視していることがうかがえます。

 今後はこの政策パッケージに基づいて、2007年度以降のIT政策の実施計画である「重点計画─2007」の策定が行われ、最終的にIT政策が各府省の予算要求へ反映される予定となっています。