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メーカー、卸、小売りの企業間で商品名や寸法などの「商品マスター」情報を標準化し、共有する取り組み。コスト削減や企業間連携の強化につながる。

 流通業は、表向きはPOS(販売時点情報管理)システムの導入など、IT(情報技術)の活用が徹底していますが、裏では様々な課題があります。その1つが、メーカーあるいは卸売業と小売業の間の商品情報の共有です。この解決のため、「GDS(Global Data Synchronization、商品マスターデータの国際的な同期化)」という標準規格が考えられています。欧米の流通業では既に実用段階に達しており、国内でも実証実験が始まっています。

◆効果 商品情報を共有

 食品や日用品といった商品は、メーカーが商品発売時に1度だけ商品名や寸法、外観写真、重量などの項目を含む「商品マスター」情報を提供すれば、卸や小売りはそのまま共有して使えるはずです。

 しかし現実には、卸や小売りは、メーカーが新商品を発売するたびに、自社の情報システムに合わせた独自の商品マスターを作り続けています。商品マスターは、物流の効率化や、店頭での棚割りといった業務の基礎情報として不可欠ですが、他社と同じ内容にしても競争力を損ねることはありません。

 そこで一部の企業が共有を進めた事例は既にありました。資生堂やエステー化学など日用品メーカー8社が1985年に共同で設立したプラネットは、「システムは共同で、競争は店頭で」という理念を掲げ、昨年12月末時点で日用品業界のメーカー約300社、4万アイテム以上の商品マスターを標準化して提供しています。

 GDSはこうした一部業界の取り組みをさらに発展させて、業界や国単位で標準化された商品マスターの「データプール」を作る取り組みです。メーカーがこの商品マスターを更新すれば、直ちに卸・小売りが参照できるようにします。共通の商品マスターがあれば、例えば小売り側の販促計画や需要予測結果をオンラインでメーカーに伝えて連携するといった取り組みを効率的に行えるようになります。

◆事例 イオンが実験

 国内では、2005~06年度に経済産業省がGDSの実証実験をしています。2005年度はメーカー側では花王や資生堂、卸では菱食やパルタック(大阪市)、小売りではイオンやイトーヨーカ堂など、各業界の有力企業62社が参加。各社独自の商品マスターを管理する手間を削減することにより、日用品・化粧品業界では年間約10億円の経済効果を見込んでいます。

 ただし、GDSの普及には、各社の既存の情報システムとデータプールを接続するなどのシステム投資が必要です。データプールの維持費をどうやりくりするのかという問題が、普及の妨げになる可能性もあります。