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ロシアで生まれた発明・問題解決の方法論。発明・問題解決の定石や、それら定石をどう適用すべきか考察する分析手法をまとめた。主に研究開発分野で用いられる。

 一般に汎用的な業務革新や問題解決の方法論といえば、日本生まれの「トヨタ方式」「TQM(総合的品質管理)」や米国生まれの「シックスシグマ」などが有名です。実はロシア発祥の問題解決手法にも、日本の研究開発現場から根強い支持を受けているものがあります。それが「TRIZ(トゥリーズ)」で、ロシア語の「発明的問題解決理論(英語ではTheory of Inventive Problem Solving)」の頭文字です。

 TRIZが西側諸国で知られ始めたのは1990年代からです。日本企業では、日立製作所や松下電器産業などの大手電機メーカーを中心に、TRIZの活用が広がっています。

◆効果 定石に沿って解決

 TRIZの創始者は、旧ソ連のゲンリック・アルトシューラー氏(故人)です。同氏は、発明や技術的な問題解決の成果である特許情報を分析して、そのパターンを抽出すれば、ほかの発明にも応用できると考えました。世界中で公開された膨大な特許情報を分析。「40の発明原理」を抽出し、発明や問題解決の「定石」として体系化しました。それがTRIZの基礎となりました。

 さらに、40の定石をどう目の前の問題に適用すべきか考察するための分析手法もあります。この分析で特徴的なのは、問題を解決しようとする時に生じがちな「矛盾」に着目する考え方です。

 例えば、製品の「強度」と「重量」が矛盾することはよくあります。一般的には、最適な強度と重量のバランスを試行錯誤します。これをTRIZの手法で分析すると、「分割の原理」といった定石が解決策の候補になります。分割の原理を適用すると、製品の中で強度が必要な個所を分割し、そこだけ頑丈な素材を使うといったアイデアが生まれます。

 問題解決のためのアイデアを探し出す発想法としては、アイデアをカードに書き出して分類する「KJ法」といった手法も従来から知られています。ただし、KJ法などを使って有効なアイデアが生まれるかどうかは、その場に居合わせたメンバーの発想力などの要素に左右されがちです。その点、TRIZは「偶然のひらめき」に頼らずにより確実に解決策に近づくことができる手法だと言えるでしょう。

◆事例 電子部品開発に活用

 韓国のサムスングループは98年から電子部品の開発などでTRIZを組織的に活用してきました。技術者などを対象に2カ月の社内研修コースを用意。TRIZの本家であるロシア出身のTRIZ専門家と契約して技術者の相談にいつでも乗れる体制を作っています。サムスン電子などグループ全体で、年間150件以上の発明にTRIZを適用しているとのことです。