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図 MediaFLOのシステム上の特徴は,携帯電話との連係によって課金が可能なこと。無線チャネルの特徴は,1チャンネルごとにサブキャリアの本数(スロット数)と時間(OFDMシンボル数)を動的に割り当て,システム全体での帯域利用効率を上げていることである。
図 MediaFLOのシステム上の特徴は,携帯電話との連係によって課金が可能なこと。無線チャネルの特徴は,1チャンネルごとにサブキャリアの本数(スロット数)と時間(OFDMシンボル数)を動的に割り当て,システム全体での帯域利用効率を上げていることである。
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 MediaFLOとは携帯端末向けの放送に特化した新しい技術である。現在,日本国内で携帯端末向けのテレビ放送「1セグメント放送」(ワンセグ)が普及しつつあるが,一方でMediaFLOもサービス開始に向けて進んでいる。

 MediaFLOはもともと,携帯電話向けチップ・ベンダーの米クアルコムが開発した方式で,現在ITU-Rなどで標準化の作業中だ。米国ではすでに,UHF帯を使った商用サービスが2007年3月から提供されている。日本国内では,2011年に地上波テレビ放送がアナログからディジタルに完全移行するのに伴い,空きができるVHF帯の一部がMediaFLOに割り当てられる見込み。

 ワンセグは,固定向けの地上波放送と同様に,全ユーザーに向けて全チャンネルを無料で放送する。これに対して,MediaFLOは1番組ごとに課金できるしくみを備えている(図)。

 番組単位の課金は,MediaFLOの放送網とは別の携帯電話網と連係することで実現している。MediaFLO対応の携帯端末で番組を視聴する場合,端末はまず携帯電話網を経由してMediaFLO事業者とやりとりし,認証や課金の処理を済ませる。そして,携帯電話網経由で復号鍵をダウンロードし,放送されている映像データを復号して視聴する。

 MediaFLOは,一つの放送サービスで6MHz幅の周波数帯域を利用し,H.264で符号化した毎秒30フレーム,QVGA(320×240画素)の映像を20チャンネル程度放送できる。単純に計算すると1チャンネル当たり300kHz幅となる。一方,ワンセグでは,H.264で符号化した毎秒15フレーム,QVGAの映像を1セグメント(429kHz幅)を使って放送する。つまり,ワンセグに比べてMediaFLOの方が周波数の利用効率はかなり高いことになる。

 このような高い周波数利用効率は,サブキャリアの本数およびOFDMシンボル(1回の変調でデータを載せる単位)を動的に割り当てることで実現している。同じ解像度とフレーム・レートでも,動きの多いスポーツ中継のビットレートは高くなり,動きの乏しいニュース番組のビットレートは低くなる。さまざまな番組を6MHz幅の広い帯域でまとめて放送することで,帯域全体の利用効率を上げるのである。