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図1 「Super 3G」とは「第3.9世代」携帯電話規格の一つ
図1 「Super 3G」とは「第3.9世代」携帯電話規格の一つ
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図2 現状で使われている周波数帯と帯域幅を使って通信する(イラスト:なかがわ みさこ)
図2 現状で使われている周波数帯と帯域幅を使って通信する(イラスト:なかがわ みさこ)
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 Super 3Gとは,下りの通信速度が100Mビット/秒以上と,これまでの携帯電話の数百k~数Mビット/秒と比べてはるかに高速な携帯電話である(図1)。

 携帯電話は,第3世代(3G),第3.5世代(3.5G),第3.9世代(3.9G),第4世代(4G)という流れで進化してきた。このうち現在,市場に出回っているのは,第3世代と第3.5世代の携帯電話だ。Super 3Gの携帯電話は,その第3.5世代の次に来る第3.9世代の規格の一つである。

 第3.9世代に当たる携帯電話には,二つの規格がある。一つは,NTTドコモやソフトバンクモバイルが採用するW-CDMAという技術を使う方式で,「LTE」(long term evolution)と呼ばれる規格。もう一つは,KDDIなどが採用するCDMA2000という技術を使う「UMB」(ultra mobile broadband)という規格である。いずれも,下りの通信速度で100Mビット/秒以上を実現する携帯電話規格だ。「Super 3G」は,これらのうち前者のLTEを指す。

 LTEはもともと,NTTドコモが中心になって策定した規格である。NTTドコモでは,LTEを使った携帯電話サービスの開発に力を入れており,2007年7月には基地局を開発するメーカーを募集し,本格的な実証実験に入った。2009年には開発を完了し,2010年からのサービス化を目指している。「Super 3G」という名称は,そのNTTドコモが開発当初から使っている呼び名だ。現在は,国際規格であるLTEのことを「Super 3G」と呼ぶのが一般的になりつつある。

 Super 3Gでは,OFDM(orthogonal frequency division multi-plexing)やMIMO(multiple input multiple output)と呼ばれる技術を使って,100Mビット/秒以上の速度を実現する。実はこれらは,第4世代の携帯電話で採用が見込まれている技術でもある。

 第4世代の携帯電話は,現行使われている周波数帯よりはるかに広い帯域幅(100MHz幅程度)を使って,最大1Gビット/秒もの通信速度を実現する。ただし,第4世代の技術的な内容については,これから本格的な話し合いが始まるところ。利用する周波数帯もまだ決まっていない。そのため第4世代のサービスが始まるのは,第3.9世代のサービスが始まるさらに数年後の2012~2015年ころになるとみられている。

 Super 3Gでは,第3世代や第3.5世代で使っている現行の周波数帯をそのまま使う。具体的には,現状使われている2GHz帯の周波数を使い,帯域幅も現行と同じ5MHz幅を使う予定だ(図2)。

 そもそもSuper 3Gが開発されたきっかけは,第3世代用に割り当てられた周波数帯を長期にわたって使い続けるためであった。LTEという規格名に「long term」という言葉が入っているのはそのため。つまりSuper 3Gでは,第4世代で予定している技術を,現在使われている第3世代の周波数を使って実現することで,100Mビット/秒以上の通信速度を実現する。Super 3Gが第3.9世代と呼ばれているのは,こうした「限りなく第4世代に近い第3世代」という意味合いがあるからである。

 携帯電話事業者にとってみると第3.9世代は,第4世代へスムーズに移行するための“橋渡し”になるというメリットもある。現行のシステムに機能を付け加える形で第4世代の技術を先行導入することになるので,第4世代を本格導入するにあたっての技術的なハードルが低くなる。

 Super 3Gを採用した携帯電話が実用化されれば,携帯電話でハイビジョン映像を見たり,高品質なオンライン・ゲームなどをストレスなく利用できるようになるだろう。通信速度だけを見れば,FTTHやCATVといったブロードバンド接続サービスと肩を並べることになり,こうしたインターネット接続サービスの対抗サービスとなる可能性も秘めている。