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文・石井 恭子(日立総合計画研究所 社会・生活グループ 主任研究員)

 2007年10月17日、政府の内閣官房IT担当室電子政府推進管理室の下に「次世代電子行政サービス基盤等検討プロジェクトチーム」という官民合同の検討チームが発足しました。この検討チームは、さまざまな行政手続きを基本的にワンストップで簡便に行える次世代の電子行政サービス基盤の標準モデルを、2010年度を目途に構築することを目指しています。つまり、国・地方の枠、官・民の枠を超えた電子行政窓口サービスを提供するために、フロントオフィスとバックオフィスだけでなくバックオフィス相互間の連携や民間の手続きとの連携も図ろうとするものです。

 この検討チームが発足する直接の契機となったのは、2007年7月にIT戦略本部から発表された「重点計画-2007」に、「様々な行政手続を基本的にワンストップで簡便に行える電子行政サービス基盤の標準モデルを2010 年度を目途に構築することを目指す」という目標と、官民合同のプロジェクトチームを年内に設置することが盛り込まれたからです。

 検討チームを構成するのは、地方自治体、民間企業、行政手続きにかかわる府省を含む産官学の関係者や有識者18名です。この18名を中心として、次世代電子行政サービス実現のために必要な基盤などを検討することになります(表)。

表●次世代電子行政サービス基盤等検討プロジェクトチームの検討内容
(1) 利用者視点に基づく行動フロー分析・ニーズの把握

(2) 府省間、国・地方間のバックオフィスの連携

(3) 国と地方公共団体の情報システムのデータ標準化

(4) 次世代電子行政サービス基盤のグランドデザインの策定

(5) 次世代電子行政サービス基盤の標準モデルなどの構築

(6) 上記検討事項に関連して検討、調査などを要する事項
出所:IT戦略本部 次世代電子行政サービス基盤等検討プロジェクトチーム資料より

 具体的には、おおむね4つのことを議論することになります。

 第一に、検討スコープの議論です。すべての手続きを飛躍的に便利にするためには、多大な費用がかかります。そこで、重点的に取り組む手続きの検討や選定が必要となります。例えば個人に関しては、引っ越し、入社・退職、結婚、出産、死亡などの人生の「転機」にあたる手続きが候補として挙がっています。また企業に関しては、年末調整、入社、転勤などの手続きが挙がっています。手続きの絞り込みにあたっては、利用者のニーズを把握した上で、関連組織が円滑に連携することも含む行政事務の効率化に結びつくか、費用対効果が確保できるかといったことを検討すると考えられます。

 第二に、対象業務・システムの全体像の議論です。対象となった手続きについて、どのような業務・システムに変えていくべきか、その全体像を議論する必要があります。そこで、個人や企業といった利用者の利用実態を踏まえた業務・システムのあり方や、国と地方自治体の関係業務・システムの現状と将来イメージといったことについて検討することになります。

 第三に、制度的課題の議論です。ある手続きを変えるにあたっては、制度の変更を伴う必要もあると考えられます。そこで、連携する情報の範囲やサービスの実現に関係する制度について洗い出し、業務やシステムの運用上の課題を検討することになると考えられます。

 第四に、技術的課題の議論です。望ましい手続き像を支える技術があるかどうかということも重要な検討項目となります。そこで、受付、振り分けなど、どのような機能を整備するかという議論や、データ項目、形式などのデータ標準化、ネットワークのあり方や連携手法、モバイルの活用を含む認証方式などを検討することになります。

 今後、業務面、技術面について検討するワーキンググループを設立し、2008年の4月までに基本構想を取りまとめる予定となっています。

 検討チームの成果により、近い将来、国民や企業にとって煩雑な行政手続きが簡単になるかもしれません。