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図1 IT機器の消費電力量は増える見込み
図1 IT機器の消費電力量は増える見込み
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図2 ネットワーク技術を使って省エネ(イラスト:なかがわ みさこ)
図2 ネットワーク技術を使って省エネ(イラスト:なかがわ みさこ)
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 グリーンITとは,ITに関連する省エネへの取り組みを指す。近年,生活のあらゆる面で環境への配慮が必要になっている。ネットワークも例外ではない。ルーターやサーバーなどIT機器の消費電力量は思いのほか多く,省エネの動きが加速している。

 IT機器が消費する電力量は増加傾向にあり,国内の総消費電力量に占める割合は大幅に増えるとみられる(図1)。経済産業省の資料によると,IT機器の消費電力量は,2006年時点で約470億kWhだったのに対し,2025年には2400億kWhになると推定されている。この数値が国内の総消費電力量に占める割合を見ると,2006年で5%弱だったのが2025年には15~20%程度にも達する計算になる(国全体の総発電量が1兆kWhレベルで変化しない場合)。

 消費電力量増加の原因は次の二つと考えられている。一つは,ITの普及でサーバー,ネットワーク機器,パソコン,ディスプレイなどの機器が大幅に増加すること。もう一つは,高画質の動画をネットワーク上でやりとりする機会が増えるなど,機器ごとの情報処理量が増加することだ。

 主な対策として,低消費電力の機器開発が進んでいる。ネットワーク機器ベンダーはルーターやLANスイッチなどのハードウエアの設計を工夫し,消費電力を低減した“グリーン”な製品を続々と発表している。

 また,データ・センターの冷却効率を向上させることも重要視されている。データ・センターでは,サーバーやルーターなどから発生した熱を冷却するために多大な電力を消費しているからだ。

 グリーンITに取り組む企業は増えている。世界的に見ると業界全体として取り組む姿勢も見られる。米インテルや米グーグルなどが参加するコンピュータのエネルギー効率の向上を目指す団体「The Climate Savers Computing Initiative」や,米HPや米IBMなどが中心となって設立したデータ・センターの省エネに取り組む団体「The Green Grid」が発足している。

 機器やデータ・センターの省エネだけでなく,(1)ネットワーク全体の省エネや,(2)ネットワーク技術を活用した省エネも考えられている(図2)。

 (1)のネットワーク全体の省エネでは,機能の統合や仮想化技術によってネットワークにつながる機器の台数を減らすことが有効と考えられている。セキュリティ機能を1台の装置に統合したUTM(unified threat management)や,ルーティング機能に加えて各種セキュリティ機能を統合した高機能なルーターを使うことで,機器の台数を減らせる。仮想化技術の例としては,1台のルーター上に仮想ルーターを複数動かす手法がある。

 (2)のネットワーク技術を活用した省エネとしては,パケットに付与したラベルを元にルーティングするMPLS(multi protocol label switching)を使う方法がある。「MPLSを使うと1台のルーターで複数のサービスを提供できるため,ルーターの台数を減らせる」(ジュニパーネットワークス)と言われている。

 ほかにもユニークなものとして,LANケーブル経由で給電する「PoE」(power over Ethernet)を使う方法が考えられている。エクストリーム ネットワークスが開発した「ユニバーサルポート」を活用すると,PoE対応のLANスイッチに接続されたIP電話機や無線LANアクセス・ポイントなどへの給電をポート単位で細かく制御できるようになる。時間を指定して給電をオン・オフできるため,休日や夜間に給電をストップさせ,消費電力量を抑えるといった運用が可能だ。

 このようにグリーンITには,IT機器自体の省エネ以外に,ITを活用した省エネも含まれる。ITを活用してエネルギー消費を効率化するものであれば,何でもグリーンITというわけだ。

 最近では,国のレベルでもグリーンIT関連の技術開発が始まろうとしている。経済産業省は2008年度から5年間の予定で「グリーンITプロジェクト」を実施する。ルーターについては30%以上の省エネを目的として掲げており,データ量や速度,経路を適切に制御して消費電力量を抑えるといった技術が例として示されている。