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 顧客に起きる重要なイベントを推察し、最適な商品やサービスを最適なタイミングで提供して収益向上につなげるマーケティング。金融機関での導入が多い。

 2007年は「KY」という言葉が一部のマスコミに頻繁に登場しました。「空気が読めない」を意味しており、政治家による間の悪い言動を指す際によく使われました。

 マーケティングにおいても「空気を読めるか読めないか」は重要です。顧客への働きかけはタイミングを十分に見計らったものでなければなりません。顧客の身に起こる重要なイベントに際して、最適なタイミングで最適な商品やサービスを最適な手段で提案するマーケティングをEBM(Event Based Marketing=イベント・ベースド・マーケティング)と呼びます。イベント主導型マーケティングと訳されることもあります。

 EBMにおけるイベントとは、就職、結婚、出産、住居購入といった顧客にとって重要な出来事であって、かつ、企業にとっては商品やサービスの販売機会になるものを指します。こうした顧客の人生の節目を予測するのに役立つ情報は入出金や消費動向などです。それを把握している銀行やカード会社といった金融機関を中心に、欧米では数年前からEBMが広がり始めました。日本の金融業界でも導入されつつあります。

効果◆タイミングに合った商品を提案

 EBMでは、膨大な過去の顧客データを分析して、イベントの予兆になる動きの傾向をつかみ、どのような働きかけが有効なのかを割り出すのにIT(情報技術)を駆使します。

 従来の顧客情報分析では、年齢、住所、年収といったデモグラフィック(人口統計的)な属性を中心に、顧客が「誰なのか」を分類していました。「都内に住む年収700万円の35歳の会社員」にはAという金融商品がお勧めである、といった具合です。

 これに対して、EBMでは、顧客が「誰なのか」よりも「どのような状態にあるのか」を重点的に分析して予測します。いわばタイミングを切り口にしたワン・ツー・ワン・マーケティングを目指すものです。顧客は結婚や引越しといった大きなイベントに際しては、年齢や職業に関係なく似た行動を取るからです。例えば、結婚を機に住宅ローンや生命保険を組む人は多いでしょう。こうしたイベントに絡めて商品やサービスを売り込みます。

事例◆横浜銀行が2008年から導入

 横浜銀行は2008年1月からEBMに取り組んでいます。月々の入金額の増加や住所変更などから顧客に起こったイベントを推測して商品やサービスを提案したりします。BI(ビジネス・インテリジェンス)ツールを使いこなしつつ仮説を立てて販促活動の結果を分析するといった作業が成否を左右するでしょう。