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図1 「キャリア・グレードNAT」でユーザー用のIPアドレスを節約する。キャリア・グレードNATは,ブロードバンド・ルーターが備えるNAT機能の大規模版を備えた加入者収容ルーター。加入者に割り当てるIPv4アドレスを減らすことで,新規ユーザーの収容や,バックボーンの拡張を可能にする。
図1 「キャリア・グレードNAT」でユーザー用のIPアドレスを節約する。キャリア・グレードNATは,ブロードバンド・ルーターが備えるNAT機能の大規模版を備えた加入者収容ルーター。加入者に割り当てるIPv4アドレスを減らすことで,新規ユーザーの収容や,バックボーンの拡張を可能にする。
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 キャリア・グレードNATは,企業ネットや家庭内ネットの中で使われているプライベート・アドレスの範囲をプロバイダのアクセス網まで広げることで,グローバル・アドレスを節約する技術だ(図1)。IPv4アドレスの枯渇をしのぐ対策の一つとして注目されている。

 今のところほとんどのプロバイダは,FTTHやADSLで収容するユーザーにグローバル・アドレスを一つずつ割り当てている(図1の(1))。ユーザーはNATを使って,社内ネットや家庭内ネットにあるプライベート・アドレスを割り振ったパソコンそれぞれでインターネットにアクセスできるようにする。 NATは,プライベート・アドレスを割り振った複数のパソコンが一つのグローバル・アドレスを共用するための機能だ。

 キャリア・グレードNATは,このNATをプロバイダ側で稼働する加入者収容ルーターに搭載したものだ。一つのグローバル・アドレスで複数のブロードバンド・ユーザーを収容する(図1の(2))。企業ネットや家庭内ネットのNATは,グローバル・アドレスの代わりにプライベート・アドレスを一つ受け取ることになる。

 キャリア・グレードNATを導入したあとも,ユーザーのネットワーク構成は変わらない。ユーザーは従来通りNATを使って,プロバイダから割り当てを受けた一つのプライベート・アドレスを,複数のパソコンで共有する。

 ただし,キャリア・グレードNATは,ユーザーに一つずつグローバル・アドレスを割り当てられない以上,問題が発生する。

 例えば,インターネットで情報を公開するサーバーを持つ企業ネットや家庭内ネットは,キャリア・グレードNATに収容できない。サーバーにはグローバル・アドレスを割り振っておかなければ,インターネットのほかのパソコンからアクセスできなくなるからだ。IPv4アドレスが枯渇しそうになっていても,グローバル・アドレスを割り振ってもらう必要があるわけだ。

 こうした限界があることから,キャリア・グレードNATはあくまでもIPv4アドレスの延命策という位置付けになる。キャリア・グレードNATを利用できないケースがある限り,いずれIPv4アドレスが枯渇するのは避けられない。キャリア・グレードNATによりIPv4アドレスの枯渇を先送りしている間に,根本的な対策を講じる必要があるわけだ。