PR

 人材流出を防ぎ、企業にとどめておくための方策。報酬など待遇面の拡充に加え、教育やモチベーション向上策で「仕事のやりがい」を高める工夫が必要になる。

 『若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来』(光文社新書)という2007年のベストセラーのタイトルに象徴されるように、若手社員の離職率が上がっています。内閣府が発表した「平成19年版国民生活白書」によると、20~24歳の離職率は1993年に22%だったのが2005年には33%に上昇。職業観の変化に加え、転職支援サービスの拡充など転職しやすい環境が整ったことが背景にあります。企業からすれば、採用や育成のコストを回収できないうちの早期離職は何とか食い止めたいもの。

 離職を抑え、企業に人をとどめておくための方策が「リテンション」です。「保持、継続」を意味するリテンションは、「カスタマー・リテンション(顧客のつなぎとめ)」などの意味にも使われますが、人事面でのリテンションは、人手不足に悩む企業にとって喫緊の課題です。

成果◆精神的報酬でつなぎ止める

 リテンションのために欧米企業では報酬を上げることでリテンションを図る例が少なくありません。ですが、それほど柔軟に給与や賞与を変更できない日本企業では、モチベーションやロイヤルティーを高めることを重視しています。人事コンサルティング会社シェイク(東京・目黒)の森田英一社長は「若手社員が重視するのは『成長感』。自分は去年より確実に成長しているという実感を味わうことが職場へのロイヤルティーにつながる」と話します。

 例えば、長期にわたって同じようなルーティンワークを繰り返させられていたら、成長感を味わうことは難しいでしょう。教育研修などの「学びの場」を提供して知的刺激を与え、仕事に役立てる意識を醸成することが必要です。公募制度などで希望の仕事を担当する部署に異動したり、キャリア・プランを相談できる体制を作ったりといった、人事制度の拡充も有効です。

 また自分の仕事が周囲に認められ、評価されることもモチベーションを大きく向上させるので、社員同士の投票による表彰制度などで、目立たない仕事を着実にこなしている社員に光を当てる企業も増えています。

事例◆非日常経験で成長

 衣料品専門店のユナイテッドアローズでは、出店やリニューアルなどのタイミングで、「アクションラーニング」と呼ばれる研修を開催しています。山登りなど、非日常的な活動にチームで取り組み、その振り返りを行うことで、チームメンバーの本音に触れたり、仕事で応用できる気づきを得たりします。こうした取り組みが貢献し、アクションラーニングに取り組んだ社員は、それ以外の社員と比較して離職率が低いという効果が表れています。

参照
2007年6月号「特集2・変革風土を生む対話術」