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図1 Tier1はインターネットの中心にいる世界の大手プロバイダ プロバイダと契約しているユーザーのパソコンは,必ずどこかのTier1プロバイダにつながっている
図1 Tier1はインターネットの中心にいる世界の大手プロバイダ プロバイダと契約しているユーザーのパソコンは,必ずどこかのTier1プロバイダにつながっている
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 インターネットはプロバイダ(インターネット接続事業者)同士がつながってできている。インターネット上のすべてのマシンと通信できるのは,プロバイダのルーターが,インターネットに存在するすべてのアドレスに到達するための「経路情報」を持っているからだ。2008年6月現在,インターネット上のすべての経路情報(フル・ルート)の数は約25万個に及ぶ。プロバイダは,このフル・ルートを持つことでインターネットの全範囲にパケットを送れるようになる。

 大手プロバイダは,配下に中小のプロバイダを数多く抱え,それらから送られてくる膨大な数の経路情報を保持している。しかし,どんなに大規模なプロバイダでも1社だけでインターネット上のすべての経路情報を得ることはできない。そこで,同じ境遇のプロバイダ同士をつないで,それぞれのプロバイダが持つ経路情報を交換し合う。こうして,他のプロバイダと経路情報を交換するだけでフル・ルートを入手できるプロバイダを,「Tier1」と呼ぶ(図1)。

 「Tier」は,「階層」という意味の英単語である。インターネットのすべての経路というのは,すべてのTier1が配下に持つ経路情報の総和ということになる。

 Tier1プロバイダ以外は,Tier1が持つフル・ルートをTier1などの上位プロバイダから入手することで,インターネット全体の接続性を確保している。Tier1が集めたフル・ルートを下流のプロバイダのルーターに渡して経路情報を覚えさせていくことで,最終的に末端のプロバイダまでインターネット全体の接続性が保たれるしくみである。その結果,すべてのプロバイダが最終的にどこかのTier1につながる格好になる。

 2008年6月時点では,10社がTier1プロバイダに該当するとみなされている。10社中8社が米国の大手プロバイダで,米国以外のTier1は,日本のNTTコミュニケーションズと,スウェーデンのテリアソネラの2社だけ。NTTコミュニケーションズは,2000年に当時Tier1だった米ベリオを買収してTier1プロバイダとなった。

 Tier1に米国のプロバイダが多いのは,インターネットが米国を中心に発展したという歴史があるからだ。また,米国には当時すでに欧州やアジアなどの地域と通信するための海底ケーブルが整備されていた。そのため,欧州やアジアなどのプロバイダが世界中のプロバイダと通信するためには,米国のどこかのプロバイダと接続するのが手っ取り早い。

 こうして世界中のプロバイダが米国のプロバイダとつながり,現在のTier1が出来上がった。米国のプロバイダが今でもインターネットの中心になっているのはそのためである。