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 ブラウザーを稼働できてインターネットに接続できる端末さえあれば、すべてのコンピュータ機能を使える利用環境を実現しようという構想。米グーグルが提唱した。

 「クラウド・コンピューティング」は、ブラウザーを稼働できて、インターネット接続さえできる端末があれば、望むままにコンピュータ機能がインターネットから提供される世界を実現しようという構想です。グーグルCEO(最高経営責任者)のエリック・シュミット氏が2007年に提唱しました。「クラウド」は直訳すると「雲」を意味しますが、この場合はインターネットのことを意味します。IT(情報技術)業界のプレゼンテーションで、インターネットを雲の絵で表す習慣があることから来ています。

効果◆隅々までITを普及

 クラウド・コンピューティングが実現すると、ユーザーの手元にアプリケーションやCPU(中央処理演算装置)やハードディスク装置などがあるかどうかは関係なくなります。ただしこうした構想を提唱した例は実は過去に多数あり、革新的なものではないという指摘があります。

 実際にはこの言葉への期待感は、グーグルのビジネスモデルと表裏一体でしょう。グーグルは収入の大半を広告収入から得るビジネスモデルで急成長した企業です。特定のエンド・ユーザーを対象にしないビジネスモデルだからこそ、多くの人々に利用されて認められる存在になりました。

 グーグル自身もクラウド・コンピューティングを支えるのは広告だとしています。豊かな人々や大企業だけが高度な利用環境を得られた従来の世界とは異なり、すべての人々がテレビ番組のように無料でコンピュータ環境を入手できる世界が実現するかもしれない、という期待感が生まれています。「デジタルデバイド(情報格差)」を解消し得るIT普及策を待ち望み共感する人の多さが、盛り上がりにつながっているのです。

課題◆広告モデルに課題

 ITベンダー大手も続々、クラウド・コンピューティングに向けた取り組みを発表しています。

 例えば、米IBMは2007年11月、「ブルー・クラウド」という製品計画を発表しました。大規模なアプリケーションを分散運用しつつインターネット経由で利用可能にするとしています。2008年2月には米サン・マイクロシステムズや独SAPなどと共同でクラウド・コンピューティングの研究プロジェクト「RESERVOIR(リザーバー)」を発足しました。

 マイクロソフトなども、同社のアプリケーションをネットワーク利用に対応させていく方針です。

 ただし、広告収入をベースとしたビジネスモデルでどこまで高度なクラウド・コンピューティングを実現できるのかは未知数です。実現に向けて多くの紆余曲折がありそうです。