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図1 携帯電話事業には複数の形態がある(イラスト:なかがわ みさこ)
図1 携帯電話事業には複数の形態がある(イラスト:なかがわ みさこ)
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図2 MVNEが事業に必要なさまざまな業務を支援(イラスト:なかがわ みさこ)
図2 MVNEが事業に必要なさまざまな業務を支援(イラスト:なかがわ みさこ)
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 「MVNE」とはmobile virtual network enablerの略で,MVNO(mobile virtual network operator)事業を「enable=できるようにする」事業者のことを指す。MVNOは日本語では「仮想移動体通信事業者」と呼び,自分自身が通信設備を持たずに携帯電話サービスを提供する事業者のこと。このMVNO事業を支援する事業者がMVNEというわけである。

 以前であれば,携帯電話事業を行うには,サービスに必要な要素をすべて自前で用意しなければならなかった。NTTドコモやKDDI,ソフトバンクモバイルなどの大手携帯電話事業者は,これらを自前で用意している。このような事業者のことをMNO(mobile network operator)と呼ぶ。イー・モバイルも自社で設備を持つMNOの一社だ。

 これに対して,通信設備などのインフラをMNOから借りて,独自のサービスを提供する通信事業者がMVNOである。国内のMVNOの草分けは日本通信で,最近ではプロバイダ各社もMVNOの形態でデータ通信サービスを始めている。MVNOは,基地局やバックボーン・ネットワークといったインフラを用意しなくて済む分だけ,事業に参入しやすい。

 それでもMVNOは,MNOとの交渉や端末の調達などを自分たちの力で行わなければならない。そこで,こうした業務を肩代わりして,MVNOのアイデアを実現させるための支援をするのがMVNEである。インフラを保有するMNOとサービスを提供したいMVNOの仲立ちとなって,MVNOの事業が成り立つように必要な業務を支援する(図1)。

 MVNEは,総務省が「MVNOに係る電気通信事業法及び電波法の適用関係に関するガイドライン」の中で以下のように定義している。それは「MVNO との契約に基づき当該MVNOの事業の構築を支援する事業を営む者」というものである。具体的な形態としては,(1)MVNOの課金システムの構築・運用,MVNOの代理人としてMNOとの交渉や端末調達などを行う,(2)自ら事業用電気通信設備を設置し,MVNOに卸電気通信役務を提供する──が掲げられている。

 実際に,MNOとの交渉や回線調達,端末の調達,課金やサービスのためのシステム構築,販売チャネルやアフター・サービスのための人材確保など,MVNOがサービスを提供するまでに必要な部分は多くある。これらの業務をMVNEが受け持つことで,効率よくMVNOのサービスを開始し,継続できるようにするわけだ(図2)。

 総務省は近年,MVNOの参入を積極的に促すようにしている。例えば2.5GHz帯を使うMNOであるUQコミュニケーションズのモバイルWiMAX やウィルコムの次世代PHSのサービスに対して,MVNOがその無線設備を利用しやすいようにすることを義務づけている。2009年に始まるこれらの新サービスは,MVNOの共存が前提になっているのである。こうした背景から,MVNOの事業化を支援するMVNEが今,重要な役割を果たすようになってきている。