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 ハードディスク装置を持たず、ファイルやソフトウエアを端末内に保存できないパソコン型機器のこと。ネットワークに接続して使用し、ソフトはサーバー側で実行する。

 企業にパソコンが1人1台配備されるようになって、十数年が過ぎました。この間、社員のオフィスワークは効率性が格段によくなりましたが、新たな費用も発生しています。代表格は運用管理コストとセキュリティー対策コストの2つでしょう。

 パソコンにはOS(基本ソフト)に始まり、文書作成や表計算などの各種ソフト、ウェブブラウザーといった業務に必要なソフトが搭載されています。それぞれバージョンが変わればソフトの入れ替えが必要になりますし、細かい不具合が修正されるたびにパッチと呼ばれる修正ファイルを追加導入する必要もあります。パソコンの台数が数千台、数万台ともなれば、ソフトの保守作業にかかる時間と人件費は膨大になります。

 加えて、パソコンに機密情報を記した文書ファイルが保存されるようになり、情報漏えいの可能性は以前とは比べものにならないほど高まりました。社外に持ち出したノートパソコンを紛失したり盗まれたりして顧客情報が漏えいしたという事故は頻繁に発生しています。

効果◆サーバーでファイルを集中管理

 こうしたコストやリスクを軽減できるのが、ハードディスク装置を持たない端末「シンクライアント」です。シンクライアントは利用するソフトやファイルをネットワークを介してサーバー上で実行するのが特徴です。ただし、ネットワーク経由でソフトを使うため、高速回線が用意されていない環境ではソフトの動作が遅くなる弱点もあります。

 シンクライアントを使えば、ファイルやソフトをサーバー側で集中管理できます。ソフトのバージョンアップはサーバー側で一度に済ませられますし、端末を持ち出してもファイルは内部に無いので盗まれる危険性がありません。運用管理コストとセキュリティー対策コストを大きく軽減できるのです。

 2005年4月に個人情報保護法が施行されて以来、企業は今まで以上に顧客情報の取り扱いに慎重になりました。シンクライアントのコンセプトは10年ほど前からありますが、ここ数年で再び脚光を浴びるようになったのは、情報漏えいが企業の根幹を揺るがしかねない事態を招くとの認識が広がったためです。

事例◆金融機関で採用が広がる

 シンクライアントが最も普及しているのは、情報漏えいのリスクが高い金融機関です。例えば、住友信託銀行は2008年1月から海外拠点でシンクライアントを導入しています。サーバー側で社員一人ひとりのパソコン環境を仮想的に実現する「仮想化技術」はシンクライアントの利便性を高める有効な方法の1つです。