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図1 XGPのフレーム構造 上りと下りの通信を同じ周波数帯でやりとりするTDD方式を採用する。
図1 XGPのフレーム構造 上りと下りの通信を同じ周波数帯でやりとりするTDD方式を採用する。
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 XGP(extended global platform)は,現行PHSのメリットをそのまま引き継ぎながら,さまざまな高速化技術を盛り込んだ移動体通信サービスの規格である。以前は「次世代PHS」と呼ばれていた。XGPの仕様は,事業者やメーカーで構成される国際的な業界団体「PHS MoU Group」と,日本の電波産業会(ARIB)で標準化済みだ。2009年4月にウィルコムがXGPを使った「WILLCOM CORE XGP」の試験サービス(エリア限定サービス)を開始した。商用サービスは2009年10月を予定している。

 WILLCOM CORE XGPの最大伝送速度は上り/下りともに20Mビット/秒である。2.5GHzの周波数帯で10MHz幅の帯域を使う。変調方式は伝送路特性に合わせてBPSK(binary phase shift keying),QPSK(quadrature phase shift keying),16/32/64/256QAM(quadrature amplitude modulation)を使い分ける。多元接続方式としてはOFDMA(orthogonal frequency division multiple access)を使う。また,WILLCOM CORE XGPでは採用していないが,規格上はMIMO(multiple input mutiple output)にも対応している。このようにXGPでは高速化のために3.9GやモバイルWiMAXと似た技術を取り入れているが,無線フレームの構造といった実装面では3.9GやモバイルWiMAXとは異なっている。

 XGPは上りと下りで同じ周波数を時間ごとに分けて使うTDD(time division duplex)方式を採用している。これに対し,3.9GやモバイルWiMAXでは上りと下りで別々の周波数帯を使うFDD(frequency division duplex)方式を採用している。XGPでは5ミリ秒を一単位として無線フレームを構成し,一つの無線フレームを上りと下りで2.5ミリ秒ずつに分けて「サブフレーム」として利用する。さらに,サブフレームは四つのスロットに分割する。この点は現行のPHSのしくみを継承している。

 XGPはOFDMA方式を採用しているので,利用する帯域幅を多数のサブキャリアに分けて使うことになる(図1)。例えば帯域幅が10MHzの場合,複数のサブキャリアを束ねて,最大で9~10個の「サブチャネル」を作成する。これらスロットと,サブチャネルをそれぞれ横軸と縦軸にとって,通信リソースを細かいブロックのように分割する。そして,1スロット×1サブチャネル単位で,接続してきたユーザーに通信リソースを割り当てる。

 XGPでは,基地局ごとに利用する周波数を決めておかなくてもよい。ユーザーがアクセスしてくると,基地局はサブチャネル単位で空いている周波数を探して,その時点で干渉の少ない適切なサブチャネルを割り当てる。割り当てるリソースの幅は,ユーザーが要求するアプリケーションなどによって決まる。端末にどの周波数でいつ送受信すべきかを知らせる制御信号は,専用の制御チャネルを固定的に使う。

 またXGPはセル半径が小さいので,結果として,1セル当たりに抱えるユーザー数が少なくなる。そのため,一度割り当てたサブチャネルは,出来る限り同じユーザーに専有させる。こうすると,端末と基地局間の経路の伝送特性を推定しやすくなる。そのため,MIMOなどさまざまなアンテナ技術の効果が高まるという。