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 テザリングとは,パソコンをインターネットに接続するときのモデムの代わりとして,携帯電話やスマートフォンを使えるようにする機能のこと。現在の携帯電話やスマートフォンのほとんどは,パソコンとUSBケーブルなどでつなぐことで,テザリング機能が利用できるようになっている。

 ただし,ソフトバンクモバイルが2009年6月26日に発売したスマートフォン「iPhone 3G S」のように,テザリング機能を利用できない製品もある。iPhone 3G Sは,テザリングの機能自体は備えているものの,ソフトバンクモバイルの判断でテザリング機能を使えないようにしている。

 ソフトバンクモバイルの説明によると,iPhoneでテザリングを使えないようにしているのは,データ・トラフィックが急増して,携帯電話網がパンクしてしまうのを避けるためだという。iPhone ユーザーは,ほかの携帯電話ユーザーに比べてデータ・トラフィックが多い。テザリングでさらにトラフィックが増えて,少数のユーザーが限られた帯域を使い尽くしてしまうことを恐れている。携帯電話網の中でも特に無線アクセス部分は,データ通信ユーザーが継続的に使うようにはできていないからだ。

 このようにテザリングの提供は,ソフトバンクモバイルに限らず携帯電話事業者にとって悩ましい問題といえる。携帯電話事業者が提供する携帯電話やスマートフォンなら,使うアプリケーションやプロトコルをコントロールできる。しかしテザリングでつながるパソコンの通信をコントロールするのは難しい。P2P通信や動画配信といったアプリケーションで,限られた帯域を大量に消費してしまう可能性がある。

 このため携帯電話事業者は,テザリングの利用に何らかの制限を加えている。NTTドコモ,KDDI,ソフトバンクモバイルは,テザリングで利用可能な上限制の料金プランを用意していない。現在のWebサイトは定額制の利用を前提に作られているため,従量制の料金プランでは,ユーザーは安心して使えない。このことで,ユーザーが気軽に帯域を使ってしまうことを防いでいる。

 NTTドコモとKDDIはデータ通信専用の端末を使う場合だけ上限制の料金プランを用意する。ただし,それですらアプリケーションに制限を加えたり,利用状況によって帯域を制限したりする。唯一テザリングで利用可能な定額制料金を用意するイー・モバイルも,大量に使うユーザーの帯域制限を2009年5月1日から試験的に始めている。ユーザーがテザリングで気軽にデータ通信できるようになるには,より高速な携帯電話サービスの登場まで待つことになりそうだ。