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 コグニティブ無線ルーターとは,無線通信機能を複数備え,電波状況に合わせて最適なサービスを選択できるモバイル・ルーターのこと。公衆無線LANやモバイルWiMAX,3G携帯電話,PHSなどのサービスに対応する。「コグニティブ・ルーター」や「コグニティブ無線対応ルーター」と呼ぶこともある。

 機器が周囲の電波状況を検知して現在の利用者の環境を把握し,それに合わせた無線通信を行う技術がコグニティブ無線技術である。一般に二つの方式に分けられる。一つは,複数ある無線通信サービスの中から最適なサービスを選んで通信する「ヘテロジニアス型」。もう一つは,時間的,空間的に利用していない周波数帯を選んで無線通信を行う「ホワイト・スペース型」である。既発表のコグニティブ無線ルーターはヘテロジニアス型に対応する。

 サービスを選択する方法には,二つのタイプがある。機器単体で判断するものと,ネットワーク側にある管理サーバーと通信して行うものだ。機器単体で行うタイプは,電波の感度やサービスの通信帯域から,スループットが高くなりそうなサービスを判断する。一方の管理サーバーと通信するタイプは,電波の感度や通信帯域だけではなく,ネットワークの込み具合やユーザーの好み,利用中の別ユーザーへの影響などを考慮して,最適なサービスを判断する。

 この管理サーバーとルーターが通信するためのプロトコルには,情報通信研究機構(NICT)が中心になって開発し,2009年2月に標準化された「IEEE1900.4」がある。

 IEEE1900.4は,ユーザーの利用状況に合ったサービスを選択させることで,なるべく多くのユーザーが快適に使えることを目的として策定された規格である。例えば高速で移動中のユーザーには,通信帯域よりもなるべく電波が途切れにくいサービスを選択させた方が通信が安定しやすい。また,ユーザーの利用状況を見て低いスループットで済むなら,帯域が狭くても込み合っていないサービスに切り替えることで,別のユーザーのために広い帯域のサービスを空けることができる。ただし,このような運用ポリシー自体はIEEE1900.4で規定されていない。実際のユーザーの快適性は管理サーバーの設定によるところが大きくなる。