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 シェアードアドレスとは、プロバイダーが「キャリアグレードNAT」(CGN)を提供するために設けられたIPアドレスのこと。CGNは、プロバイダー網内でNAT(アドレス変換)を実施して、一つのグローバルアドレスを複数のユーザーで共用する技術である。IPv4アドレスの延命策の一つとして検討されてきた。

 2012年4月、シェアードアドレスについて定めたRFC6598が発行された。RFC6598ではシェアードアドレスを「IANA-Reserved IPv4 Prefix for Shared Address Space」と記している。シェアードアドレスのアドレス範囲は100.64.0.0/10。/10は、約419万アドレスを確保できるアドレスブロックのサイズに相当する。このサイズになった理由の一つには、日本のインターネット技術者が共同提案したインターネットドラフトがある。このドラフトは、東京エリアでCGNを提供するには少なくても/10は必要としている。

 従来のIPv4によるインターネット接続は、1ユーザーに一つのグローバルアドレスを割り当てていた。ユーザーの宅内では、複数の機器にプライベートアドレスを割り当て、インターネットに接続する際はNATを実施して一つのグローバルアドレスを共用するという使い方が一般的だった。

 ところがIPv4グローバルアドレスの在庫が枯渇した現在、これまでのようにグローバルアドレスをユーザーに一つずつ割り当てている余裕はない。そこで、プロバイダー網でもNATを実施して複数のユーザーで一つのグローバルアドレスを共用するわけだ。

 ただし、プロバイダー網内のNATでも宅内と同じプライベートアドレスを使うと、ルーティングがうまくいかずインターネットにつながらない可能性がある。このため、プライベートアドレスとは異なるアドレス空間を確保する必要があった。こうして設けられたのがシェアードアドレスである。プロバイダーはシェアードアドレスをユーザーに割り当て、プロバイダー網からインターネットに出るときにシェアードアドレスをグローバルアドレスに変換する。

 もともとシェアードアドレスは、前述した日本のインターネット技術者が必要性を訴えて2007年頃に共同提案したものが最初である。ところが当時は、IPv4の延命を嫌いIPv6を推進するムードが強く、海外の技術者からなかなか賛同を得られなかった。

 事態が進展したきっかけは、2011年初めに北米地域の地域インターネットレジストリーであるARIN(American Registry for Internet Numbers )が、シェアードアドレス向けに保有アドレスを提供すると表明したこと。これを受け、海外の技術者が共同で提案したインターネットドラフトがRFCとして成立した。