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 電源ケーブルを使わずに、無線で電力を供給する技術。主に「電磁誘導」と「磁界共鳴」の2つの方式があり、非接触IC乗車券での採用など前者が実用化で先行する。


 電池の持ちが良くない─。最近スマートフォンの利用者からよく聞かれる言葉です。スマートフォンは処理能力が高い一方で消費電力が大きく、電池の減りがどうしても速くなってしまいます。結果として頻繁に充電しなければなりませんが、現状は充電のたびにACアダプターや充電器に接続する必要があります。機器を接続する手間や管理の煩雑さを考えれば、決して使い勝手がいいとはいえないでしょう。もし充電器に接続せずに置くだけで電力を補給できるのであれば、利用者の負荷を軽減できます。

 こうした問題意識から、メーカー各社が研究開発に力を入れているのが、電源ケーブルを使わずに無線で電力を供給する技術であるワイヤレス給電です。パナソニックなどが参加するワイヤレス給電の業界団体である「ワイヤレス・パワー・コンソーシアム」が2010年9月に標準規格の「Qi(チー)」を策定したことで、急速に普及すると期待が高まっています。

効果:1m離れていても充電可能

 ワイヤレス給電には「電磁誘導」と「磁界共鳴」という主に2つの方式があります。先行する電磁誘導は送電側のコイルに磁界を生み出し、この磁界を受電側のコイルが受けることで電力を作り出す仕組みです。IC乗車券や電動歯ブラシ、コードレス電話の子機などで既に実用化されています。ただし、コイル同士を数十cm以上離すと電力の伝送効率が低下するといった欠点がありました。

 一方の磁界共鳴は2つのコイルが特定の周波数で共鳴し、送電側のコイルで発生した磁界を通じて受電側のコイルに電力が伝わる仕組みです。米マサチューセッツ工科大学が2007年に論文を発表し、研究開発に弾みがつきました。電磁誘導とは違い、機器と充電器が1m超離れていても効率的に電力を伝えられます。複数の機器に一斉に電力を供給できるというメリットも見逃せません。

事例:Qi準拠が登場

 日立マクセルは2011年4月末、米アップルの「iPhone4」を充電できるQi準拠のワイヤレス充電器(電磁誘導方式)を発売しました。充電器となるシートにiPhone4を置けば電力を補給できます。ワイヤレス給電はまだ途上の技術ですが、研究開発が進めば、近い将来、電源ケーブルが無い家電製品が登場するかもしれません。