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織田 和基=NTTデータ経営研究所 情報戦略コンサルティング本部 コンサルタント

 インターネット選挙(ネット選挙)とは、インターネットを利用した選挙運動のことです。以前は禁止されていましたが、選挙運動期間における候補者に関する情報の充実や、有権者の政治参加の促進などを目的として、2013年5月に施行された「公職選挙法の一部を改正する法律」(2013年4月成立・公布)により、一定の規制の下で解禁されました。

 改正公職選挙法の施行に伴い、第23回参議院議員通常選挙(2013年7月21日投開票)からインターネット選挙が可能になりました。ただし、現時点で可能なのはあくまでもインターネットを利用した「選挙運動」であって、インターネットを利用した「投票」はできません。

 改正前の公職選挙法(第142・143条)では、選挙運動のために使用する文書図画(はがき、ビラなど)は、頒布枚数や掲示場所が規定されていました。同法を所管する総務省(旧・自治省)は、インターネットのホームページはこの「文書図画」にあたると見なし、ホームページは無制限に閲覧可能であることから、選挙運動での利用を禁止していました。

 一方、インターネットの普及につれ、1998年以降、ネット選挙の解禁を盛り込んだ公職選挙法の一部改正法案が度々国会に提出されてきました。2012年末の総選挙でインターネット選挙解禁をマニフェスト(政権公約)に掲げた自民党が政権に就き、直後の2013年通常国会で与野党の各党協議などを経て、法案の提出・成立にこぎ着けました(表1)。

表1●インターネット選挙の解禁までの経緯
1996 ・ 新党さきがけが自治省(現・総務省)にインターネットを利用した選挙活動の何が問題なのかを問う「回答願」を提出
 ⇒インターネットのホームページが文書図画にあたり、無制限に閲覧可能であることから禁止
1998 ・ 公職選挙法の一部改正法案を衆議院に提出(民主党)
2001 ・ 公職選挙法の一部改正法案を衆議院に提出(民主党)
・ 「IT時代の選挙運動に関する研究会」が発足(総務省)
2002 ・ 「IT時代の選挙運動に関する研究会報告書」を提示(総務省)
 ⇒一定の規制の下で解禁することに積極的な姿勢を示す
2004 ・ 公職選挙法の一部改正法案を衆議院に提出(民主党)
2005 ・ 「選挙制度見直しに関する意見」提出(東京商工会議所)
・ 公職選挙法改正案の骨子をまとめる(自民党)
2006 ・ 公職選挙法の一部改正法案を衆議院に提出(民主党)
2007 ・ 公職選挙法の一部改正法案を衆議院に提出(民主党)
2008 ・ 公職選挙法の一部改正法案を衆議院に提出(民主党)
2009 ・ 第45回衆議院議員総選挙(与党が民主党へ)
・ 「インターネット選挙運動解禁研究会」が発足(民主党)
2010 ・ 公職選挙法の一部改正法案を衆議院に提出(自民党)
 ⇒与野党協議が行われ、一定の合意がなされたものの、不成立
・ インターネット選挙活動解禁に賛同する企業・個人事業主リストを民主・自民両党へ提出(eビジネス推進連合会)
2011 ・ 公職選挙法の一部改正法案を衆議院に提出(自民党)
・ 福島県議会議員選挙、および警戒区域の一部自治体の首長、議員選の選挙公報が選挙管理委員会のウェブサイトに掲示
2012 ・ 公職選挙法の一部改正法案を衆議院に提出(自民党)
・ 第46回衆議院議員総選挙(与党が自民党へ)
・ 安倍首相が次期参院選でネット選挙を実現したいとの意向を表明
2013 ・ 公職選挙法の一部改正法案が成立
・ 第23回参議院議員通常選挙にて適用