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 米NSA(国家安全保障局)が、企業を通して通話やメール、チャットなど膨大な個人情報を入手していたことが最近、明らかになりました。秘密監視システムの存在や、相当数の個人を追っていた事実は、世界に衝撃を与え、国家権力のあり方も含めて論議を呼んでいます。

 米政府がどこまで細かく通話を傍受したり、メールを読んでいたりしたかは分かりません。しかし今回の論点の1つは、上位の情報を意味する「メタデータ」を手軽に入手していたことにあります。通話内容まで調べなくても、通話場所や相手、使用機器などのメタデータが分かれば、内容を想像することは難しくありません。監督官庁の幹部がある企業の社長に1日に何度も電話していれば、「大きな発表や処分があるのでは」と推測できるでしょう。それから詳しく通話内容を調べる方が効率的というわけです。

 メタデータが集約されると、次は分析も加速するでしょう。仮に一定の企業を対象にしたら、派閥から年収、仕事をさぼっている喫茶店まで“丸裸”にされそうです。メタデータ分析が一定の節度を保ち、安全保障や犯罪防止に使われるのであれば、納得がいくかもしれません。しかし政府による暴走や悪用、ハッカーによる攻撃がないとは限りません。

 話が複雑なのは、最高責任者がバラク・オバマ米大統領であることです。ノーベル平和賞を受賞して、「世界平和のために監視をしている」と主張し、理屈を通しているわけです。反発が強まり、サイバー戦争が増えるかもしれません。