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 Intelは,半導体内部の銅線に代わる新たな素材として,カーボンナノチューブに注目している。銅線からカーボンナノチューブへの移行により,現在,複数のチップメーカーが抱えるいくつかの大きな問題が解消されるかもしれない。

 Intelは,カーボンナノチューブを使ったインターコネクトの試作品を作り,それらが正常に機能するか否かを測定することになんとか成功した。インターコネクトとは,プロセッサ上のトランジスタ同士を接続する微細な金属配線を指す。基本的に,こうした実験は,カーボンナノチューブの特性に関する理論が正しいか否かを検証する方法の1つだ。

 オレゴン州にあるIntelのコンポーネンツリサーチ担当ディレクターを務めるMike Mayberry氏は,今週サンフランシスコで開催のInternational Symposium for the American Vacuum Societyで,この研究について講演する。Intelは,カリフォルニア工科大学,コロンビア大学,イリノイ大学アーバナシャンペーン校,ポートランド州立大学と連携しながらこのプロジェクトを進めている。

 チップのインターコネクトは,次第にチップメーカーにとって頭痛の種になりつつある。各チップメーカーは,ムーアの法則に基づき,2年毎に半導体内部のコンポーネントの小型化を図っている。だが,インターコネクトを縮小すると,電気抵抗が増し,逆に(半導体の)性能は低下してしまう。チップメーカー各社はこの問題を回避するため,1990年代末にインターコネクトの材料をアルミニウムから銅に変更した。しかし,Intelをはじめチップメーカー各社には残念なことだが,銅製インターコネクトの縮小が進めば,数年の内に電気抵抗は重大な問題になり始めるだろう。

 半導体分析会社VLSI Researchのディレクター,Dave Lammers氏は,「(インターコネクトの材料として)金属を使用した場合,インターコネクトの直径を縮小すればするほど電気抵抗は強まる」と述べ,さらに「電子が金属原子に当たって跳ね返り,それにより(半導体内部)全体の動きが減速する」と付け加えた。

 Lammers氏は,VLSIの業界紙The Chip Insiderの中で,最初にIntelの実験的インターコネクトについて執筆した。

 今やナノテクノロジ業界では知らない者はいないカーボンナノチューブは,金属に比べ,はるかに良く電気を伝える。実際,カーボンナノチューブにはいわゆるバリスティック伝導性があり,電子が拡散したり,障害物に邪魔されたりすることがない。

 カーボンナノチューブは,厚さがわずか2?3ナノメートルしかなく,金属製インターコネクトと比べてもはるかに薄い。そのため,カーボンナノチューブの使用により,インターコネクトの縮小に伴う問題を解消できる可能性がある。そこで,IBMなどは,カーボンナノチューブ製のトランジスタを開発した。

 Intelは自社の実験の中で,電場を用いてナノチューブの束を整列させ,ごく標準的な装置を使って,それらの周波数を測定した。

 細部に宿る悪魔

 無論,カーボンナノチューブにも問題点はある。たしかにカーボンナノチューブには特異かつ有益な特性があるが,大量生産は難しい。というのも,原子の配列によって,一部のナノチューブは半導体,すなわち電子の伝達が制御可能だが,他は純粋な導体だからだ。またナノチューブには長さが長いものもあれば短いものもある。同一バッチ内で作られたナノチューブにも,めまいがするほど無数の特性が存在する。

 各チップには,インターコネクトを構成するための数千のナノチューブが必要となるため,研究者らは均一のナノチューブを作る方法,あるいは,良品と不良品を瞬時に分別する方法を模索しなければならなくなるだろう。

 「(現在の)インターコネクトでは,溝を掘り,それらを金属で満たしている」(Lammers氏)

 その結果,カーボンナノチューブ製のインターコネクトが商用チップに採用されるのは,早くても数年先になる見込みだ。

 カーボンナノチューブがチップに導入されるか否かに関わらず,半導体内部の基本構造や構成要素は向こう20年間で根本的に変化する。2010?2012年あたりに研究者らが今後生じるべき変化の範囲を絞り始め,その後,シリコン分子とより新しいナノ分子を結合するチップが登場し始めることになるだろう。さらに2020年代には,シリコンチップの小型化は不可能となり,全く異なる材料へのシフトを余儀なくされるだろう。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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