次男かず(小5)は近頃パソコンでゲームばかりしている。ある休みの日など,朝めしを食ってはゲーム,それから少し読書をして,昼飯を食ってはまたゲーム,それからゴロゴロして晩飯を食ってはまたゲーム。蹴飛ばしてやろうかと思った。「小学生のうちは一日に30分しかパソコンをしてはいけない」と過去に私が決めたルールなど完全に忘却の彼方である。
そんなかずに思わず,声をかけてしまった。「ゲームばっかりしていないで,もっとクリエィティブなことをしたらどうだ,かず。やるぞ,マインドストーム。」デジャブである。こうしろう(中2)がMindStormsを始めたものちょうど5年生の頃だった。
1月11日くらい。かずに「今日は何日だ?」と尋ねたら「1月11日くらい」と答えた。そんなアバウトなヤツとのマインドストーム・タイムが始まるのだ。
我が家の5代目PC,エプソン・エンデバー(第105話参照)にマインドストームのプログラム開発環境LEGO MINDSTORMS ROBOTICS INVENTION SYSTEM(RIS)1.0をインストールしたのだが,チュートリアルを見ている途中で,もれなくコケてしまう。マイクロソフトにエラーを送信するダイアログボックスが出てくるが,送る気にはなれない。RIS1.0はWindows95用のソフトウエアであり,エンデバーのOSはWindowsXPである。OSのバージョンに大きな隔たりがある。小学5年生が中学2年生になって「短期間に変わるものなだな」と思っていたのだが,OSも大いに変わっていた。WindowsXPの見た目はWin95と同じ系列のWinMeなどに合わせてあるが,中味はWinNT系列のOSなのでWin95とは大いに異なっている。
エンデバーでRISを動かすことをあきらめ,古くなってあまり仕事に使う気がしなくなったWin98ノートパソコンで「ウィーン,キィーン,ガシャーン,ゴゴゴー」(このあたりから第2話を参照していただくとわかりやすい)とRISを起動した。こちらは3年経っても色あせていない。良くできたプログラム開発環境であり,教育ソフトである。説明はRCX本体に電池を6本入れるところから始まる。懐かしくなって,ついつい見てしまった。次は,RCXへファームウエアのダウンロード方法の説明,実はRCXのファームウエアは,Javaプログラムの実行環境であるLejOS(第92話参照)に入れ替えてあるので,ここから始めなくてはいけない。買ってきたばかりのように新鮮だ。かずがIRトランスミッターとRCX本体をお見合いに適した距離に配置してダウンロード開始。「ピロピロピロー」と高らかにサウンドを鳴らしRCXが復活した。
まず,トレーニングセンターというメニューで,モーター,タッチセンサー,ライトセンサーの使い方,そしてRISプログラミングの基本を学ぶ。最初に作るのはご存知ロバート君である。ガチャ,ガチャとレゴブロックを探す音が部屋中に響く。そんな音まで懐かしい。変わったのは中心になってロボットを作っているのがこうしろうではなくかずで,「さがして」とたのまれて部品を探しているのが,かずでなくほのちゃんになったことである。
アッという間にロバート君を組み立て,プログラミングを進めていく。こうしろうがプログラムを作る様子をみてきたからか,英語の説明はさっぱりわからないのに,CD-ROMの中の講師の説明に遅れずプログラムを組み立てていく。
RIS標準のプログラム開発環境では,ブロックをつなぐようにしてプログラムを紡いでいく。かずのファーストプログラムはモーターを全部オンにして(on ABC),1秒間そのままの状態を保ち(wait 10),止まる(off ABC)。すなわちロバート君が少しだけ前進するものである。
次は,reverse directionでモーターを反転させ,発車した地点に戻ってくるプログラムを作った。アバウトな性格なかずが丁寧にトレーニングセンターの講師の指示に従い,プログラムを作っていく様子になんとなく感心してしまった。MindStormsはだれでも惹き付けてしまうのだ。
これは片方のモーターだけを動かし,ロバート君を同じところでくるくる回すプログラムである。
「おもしかったわ,ぼくプログラム始めるがちょっと遅いかもしれんけど,これからもどんどんやってみたいわー」というこの日のマインドストームタイムを締めくくるかずの失言に,こうしろうと私はすかさず「遅いわけないやろ!」と突っ込んだ。
第110話 帰ってきたロバート君
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