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 ソリューション営業を強化するITサービス業界で、役割を大きく変えつつあるのがSEだ。注文通りのシステムを作るだけでなく、最近は営業の最前線にも登場。システム構築に、多くの助言を与えてくれるようになった。
 営業とSEの間には、以前から深い溝があるといわれるが、営業にとってSEの支援はもはや欠かせないだけに、「いかに良好な関係を築くか」が強く問われている。今回の特集は、ベテランから中堅までの現役SEに「一緒の仕事は勘弁願いたい営業」「共に働いてみたい営業」の姿を直撃。SEたちの指摘から、営業活動を効率化する多くのヒントが浮かび上がった。



 この数年でITサービス業界のビジネスモデルは、受託開発型からソリューション提案型へと大きく変わった。そうした中で、ますます存在感を増してきたのがSEだ。営業とSEがいっしょにソリューション提案をする姿は、もはや珍しい光景ではない。顧客への提案について多くの知恵と助言を与えてくれるSE は、営業にとって実に頼もしい存在である。

 しかし、営業とSEのチームワークがうまく機能せず、SEがその実力を発揮できない現場が多いのも事実。SEの声に耳を傾けると「十分な相談もなしに、仕事を押し付ける」「とても折り合わないような金額で受注してしまう」など、営業に対する不満の声が引きもきらない。

 営業の第1の目標は売り上げの達成、SEはQCD(品質・コスト・納期)の確保と、それぞれの与えられた目標が異なる。この違いこそ、SEと営業の間にあつれきを生んでいる背景でもある。

 だが仕事上のパートナーとして、受注を獲得して売り上げと利益を伸ばすという方向は同じはず。ソリューション時代の中、営業とSEが良好な関係を保つことなしに、商談を勝ち抜くことは難しい。果たして、あなたはSEの力を引き出せていない「ダメな営業」になっていないだろうか。

 特集では、システムコンサルタントやPM(プロジェクトマネジャー)を含むベテランから中堅SEを取材。普段は営業と良好な関係を築いているSEたちだが、あえて「一緒の仕事は勘弁願いたい営業」「共に働いてみたい営業」の姿を聞いた。SEたちのさまざまな指摘にこそ、営業活動を効率化するための多くのヒントがある。

1.提案直前にSEに頼み込む

 提案直前になって仕事を頼み込む―。これこそ多くのSEが口をそろえる、最も敬遠したい営業担当者だ。

 「週末に、『月曜日までに提案書を作ってくれ』と泣き付いてくる」「顧客からのRFP(提案依頼書)を、締め切り3日前に丸投げしてくる」。こんな営業が少なからずいるのだ。

 「なぜもっと早く相談をしてくれないのか」と言うSEに対し、「顧客からの引き合いが多くて忙しい」と答える営業。その通りかもしれないが、引く手あまたのSEも状況は同じ。十分な準備期間があれば商談の勝率は高められるのに、これでは土壇場で勝ち目のない提案書しか出せなくなる。今抱えている仕事をやめてまで、そんな勝率の低い案件にSEが本気で取り組めるだろうか。

 間際になってSEに仕事を頼み込む習慣が抜けないのは、忙しさや個人の資質のほかにも原因がある。大塚商会アプリケーションソリューションセンターの長嶺真経課長は、「営業に『SE部門は工場だから指示通りに作ればいい』という感覚が抜けていないから、SEにまめな相談ができない」と指摘する。

 営業のそうした態度が、SEに仕事の“やらされ感”を植え付ける。開発は無理な納期、突然の仕様変更を押し込まれ、SEは被害者意識を持つようになる。こうした、SEのやる気を削ぐ悪循環には、明らかに「ダメ営業」が荷担しているのだ。

 「今や、SEの協力が得られないソリューション案件を取りに行く勇気は営業にはないはず」(長嶺課長)。それだけに営業は早めにSEと情報を共有し、どんな小さな相談も持ちかけることが重要だ。

 「仕事上のパートナーとして、SEと一緒に顧客を攻める意識を持ってほしい。そうすれば我々も顧客攻略に知恵を絞る」(東芝ソリューションの銀行ソリューション第一担当の高橋康暢主任)ものなのだ。



本記事は日経ソリューションビジネス2006年11月30日号に掲載した記事の一部です。図や表も一部割愛されていることをあらかじめご了承ください。
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