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 大手も提案する中、立正大学から出席管理システムを受注したのが、中堅のアルファメディアだ。企業向け就業管理システムを流用する他社に対し、ニッチな部分で独自色を出したことが奏効した。

=文中敬称略


 立正大学からアルファメディア(川崎市、小湊基行社長)に、システムの正式発注を知らせる電話が入ったのは、今からちょうど1年前の2005年11月だった。

 立正大学とアルファメディアは、その数カ月前から学生けの出席管理システムについて何度も話し合いを重ねてきていた。アルファメディアが見積もりを出し、立正大学の意見を加えながら、方向を修正していく。この間、大手ソリューションプロバイダからも立正大学に対して提案があった。しかし結局、受注を獲得できたのは売上規模が数億円の中堅ソリューションプロバイダ、アルファメディアだった。

 なぜ、大手を制してアルファメディアが受注できたのか。今回、大手はパッケージを使った画一的なシステムを提案してきたが、アルファメディアは立正大学の要望をうまく反映させ、特徴あるソリューションにまとめ上げることができたからだ。

 この出席管理システムは「教育手帳システム」の名称で、2006年4月から一部教員がモニターとして使用を開始している。立正大学はモニターの結果を踏まえ、今後はさらに利用を拡大する予定だ。

 立正大学は2004年ごろから、学生の出席を管理するための新システムを導入しようと計画していた。東京都品川区大崎や埼玉県熊谷市にキャンパスを持ち、約1万2000人の学生が在籍する立正大学だが、以前は学生の出席管理に主にマークシート用紙を使っていた。授業ごとにマークシート用紙を配布し、学生がチェックして授業が終わると回収する方式だ。

 しかし、この方式ではマークシート用紙のコストに加え、出席データの読み取りに手間と時間がかかる。そのため、新しい出席管理システムの導入が望まれた。既に身分証としてICカードを学生や教員に配布していたため、ICカードを利用した出席管理システムの構想が議論された。

企業の就業管理ではない

 2005年に入り、立正大学は出席管理システムの具体化に向けて、いくつかのソリューションプロバイダに相談を持ちかけた。ところが提案された内容はどこも、企業向けの就業管理システムを流用したものだったという。企業のオフィスを教室やキャンパスに置き換えただけで、例えば各教室にICカードリーダーを設置し、ネットワークでキャンパス内を結んでサーバーに出席データを蓄積するというシステムだった。規模も大きくなり、見積もり金額は数千万円になった。「各社の提案は、こちらが考えた規模と異なっていた。企業の就業管理と大学の出席管理では必要な機能が違う」。立正大学でシステム化を担当する、情報メディアセンター大崎教育システム課長の東川昌之はこう語る。

 オフィスの就業管理の場合は全社員を毎日チェックするが、授業では出席を管理するかどうかさえ教員の個別判断。中には出席管理をしない授業もある。そのため、各教室にICカードリーダーを設置してネットワーク化するといったシステムは必要なかった。もちろん、勤務形態を細かく把握する就業管理の機能も不要だった。

 実はアルファメディアも当初、自社の就業管理システムを提案し、デモも行っていた。当然のことながら、立正大学からは「何の反応もなかった」(アルファメディアの小湊宏之専務)。



本記事は日経ソリューションビジネス2006年11月30日号に掲載した記事の一部です。図や表も一部割愛されていることをあらかじめご了承ください。
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