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 オープンソースを熟知したユーザーだったため、商談は楽勝のうちに完結するはずだった。ところが導入後に担当者が交代し、オープンソースであるがゆえの困難に直面することになる。

=文中敬称略


 「今回の商談は、ゼロからのスタートだった」。ケアブレインズの執行役員事業開発・営業/パートナーコンサルタントの久保田衛は、文化放送キャリアパートナーズ(文化放送CP)との商談を、こう振り返る。久保田が率いるCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)製品「SugarCRM」の営業チームは、文化放送CPからの引き合いを受ける直前に発足したばかりだったのだ。

 しかも、扱う商材はオープンソースの業務ソフト。安さやソースコードを自由に改良できる柔軟さから企業ユーザーの関心が高まっているが、Linuxなどインフラ系のソフトと違い、採用に踏み切る企業はほとんどない。久保田にとって、「オープンソースの業務ソフトを扱うベンダーがほとんど存在しない中では、販売ノウハウも得られず、まさに手探りだった」。

 このようにオープンソースがまだ企業に浸透していない現状では、久保田は「製品を説明する前にオープンソースを説明する必要がある」と考えていた。一般的なパッケージ製品とは違うということを、ユーザー企業に理解してもらう必要があるとの判断からだ。  そう考えて望んだ文化放送CPの商談だったが、「先方の担当者のITスキルが高く、既にオープンソースに対する理解もあった。このため、商談の進み方も早かった」と振り返る。

自社開発より汎用品を使いたい

 文化放送CPがSugarCRMを検討し始めたきっかけは、既存の営業支援システムを維持できなくなってきたことだ。同社は、既存システムをマイクロソフトのデータベースソフトMicrosoft Accessで自社構築していた。ところが、システム全体の最適化を図ることなく業務の拡大に応じて必要な機能を付け足してきたため、顧客情報の増加に伴ってレスポンスの低下が顕著になってきた。

 そこで2006年1月、既存システムの置き換えを検討し始めた。当初は自社で再構築する方針だったが、システム部門を持たない文化放送CPでは人員の負担が大きくなると断念。汎用的な製品などを使う方針に切り換えた。

 候補として挙がったのは、テンアートニ(現サイオステクノロジー)のパッケージ「Sales Force Automation+」と、セールスフォース・ドットコムのASP(アプリケーション・サービス・プロパイダ)サービス「Salesforce」だった。しかし、安価なテンアートニは機能が不十分で、必要な機能を満たすセールスフォースは高価と、どちらも機能とコストで折り合いがつかなかった。

 そこでシステム刷新を担当した制作部長の吉澤美王子らは3月下旬、インターネットで第3の候補を探し始めた。そこで見つけたのが、米シュガー・シー・アール・エムが開発し、オープンソース化したSugarCRMだった。





本記事は日経ソリューションビジネス2006年12月30日号に掲載した記事の一部です。図や表も一部割愛されていることをあらかじめご了承ください。
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