オーストラリア,シドニー発--デジタル著作権管理 (Digital Rights Management:DRM)とGNU General Public License(GPL)について多くの「たわ言」が飛び交っているが,それは「重大事」ではないとLinuxの製作者,Linus Torvalds氏は語る。

 DRMは,音楽や映画といったコンテンツのコピーや配布の管理に使用される技術。一方,「GNU General Public Licenseバージョン3(GPLv3)」はFree Software Foundation(FSF)が起草したソフトウェアライセンスで,フリーソフトウェアやオープンソースソフトウェアのコピー方法や改変方法の規定を目的としている。

 Torvalds氏は,DRM技術とGPLv3はどちらも多くの論議を呼ぶだろうが,物事をより大きく見れば,どちらによっても優れた技術の普及が妨げられることはない,と指摘する。

 Torvalds氏は現地時間1月16日,当地で開催されているLinux.conf.auのインタビューの中で,「間違っているかもしれないが,私が思うに,DRMやライセンシングなどの話題になると,人々は大変興奮するのではないか。人々は非常に説得力のある意見を持っている」と述べ,さらに「最後は,人々が議論したくて仕方がない状況になる。無論,私もその中に含まれている」と語った。

 しかし,その熱狂にも関わらず,議論自体はさほど重要ではなさそうだ。

 「思うに,(DRM技術とGPLv3の問題については)多くのたわ言やデマが飛び交い,多くの人々の感情を傷つけ,多くの議論が巻き起こるだろう。しかし実際のところ,それは大問題になるだろうか。私は,さほど大きな問題にはならないのではと考えている。しかし,その答えは時が経てば分かるだろう」(Torvalds氏)

 Torvalds氏は,DRM技術に対し大きな嫌悪感を抱いていることを認めた。その理由は,同技術はユーザーの人生をより面倒なものにするためだという。

 「私がDRMを特に嫌う1つの理由は,DRM技術を適用した場合の方が適用しない場合に比べ,ソリューションとして技術的に劣っているためだ。実際,DRMは人々がやりたいことを行いづらくしている。DRM技術は,本来可能であるべきことをより困難にしている」(Torvalds氏)

 それでも,Torvalds氏は他人がDRM技術を使用することに関しては寛容だ。

 Torvalds氏は「一方で,話は全く異なるが(技術とは無関係だが),私には,人にはその人がやりたいことをさせるべきだとの強い確信がある。もし誰かがDRM技術を使用したいのであれば,それはその人の問題だ。私はそのことに関与したくはない」と述べた上で,「私は,推進したい議題のある技術分野の人々に干渉し,そのせいで彼らと対立してしまうことが度々ある」と語った。

 Torvalds氏に2007年第1四半期に最終版を発表する予定のGPLv3について感想を尋ねると,同氏は,注目には値するが大きな驚きはないと語った。

 「(GPLv3のリリースは)大変興味深いことだ。というのも,およそ16年にわたってGPLv2がオープンソース,フリーソフトウェアグループの事実上の標準だったからだ。16年は長い期間なので,その意味で,重大な転機といえる」(Torvalds氏)

 同氏はさらに「一方で,人々が長年使用したライセンスの数を見れば,(GPLv2も)ごく普通のライセンスであることが分かる。特に大したことではない。それは人々の見方次第だ」と付け加えた。

 GPLの現行版であるバージョン2は1991年にリリースされ,フリー,オープンソースソフトウェアのおよそ3分の2に適用されている。

 どの技術やソフトウェアの開発手法がより優れているかについてあれこれ議論されているが,結局「優れた技術」が勝つ,とTorvalds氏は語る。

 「私が言いたいのは,最も重要なのは優れた技術ということだ。営利目的か非営利目的か,オープンソースかクローズソースかは重要ではない。私がオープンソースにこだわる理由は,それが楽しいからだ。それこそが,最も基本的な事柄だ」(Torvalds氏)

 Torvalds氏は,「また私は,自分が楽しいことをすることこそ,最終的に,最高の結果を得るための最善策だと信じている。『最終的に』という点が味噌だ。ある時点では,それが最善策ではない可能性もある」と語る

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したも のです。海外CNET Networksの記事へ

関連記事