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 システム開発で収益を上げるビジネスモデルから、アウトソーシングなど運用主体のストック型ビジネスへの転換を果たす千載一遇のチャンスが到来した。内部統制をきっかけにユーザー企業の運用フェーズに対する意識が高まった今こそ、ユーザー企業とのなあなあの関係を卒業し、サービスレベルを明確にする格好のタイミング。属人的な業務プロセスや人月ベースの請け負いビジネスから脱却し、「業務プロセスの改善を提案する」、「新たな開発案件のタネを探り出す」といった「攻めの運用ビジネス」へと踏み出す最後のチャンスかもしれない。その鍵となるのがITIL、そしてその国際規格であるISO20000なのだ。



 新光証券のシステム関連会社である日本証券テクノロジー(NSTec)。新光証券の新基幹システムが稼働した2006年10月、運用業務を委託したソリューションプロバイダに対してITIL(ITインフラストラクチャ・ライブラリ)対応を強く要請し始めた。NSTecのデータセンターにあるシステムの運用を代行するソリューションプロバイダに対し、ITILの国際規格である「ISO20000」の認証を取得するよう求めたのだ。そのソリューションプロバイダは目下、ISO20000認証を取得するための作業に取り掛かっている真っ最中にある。

 シーイーシーの野田好男ITソリューション本部営業部長も、運用サービスの商談でこんな体験をしている。「上場を間近に控えたベンチャー企業が、最初から『ITIL準拠の運用サービスを前提にした提案をしてほしい』と言ってきた。これには面食らった」。

 ネットワークが主体の運用サービスでも同様だ。運用サービスでISO20000の取得を進めているソフトバンクテレコムの尾崎雅彦CSR推進部課長は、次のように証言する。「当社がシステムやネットワークの運用ビジネスを提供する中で、入札条件に『ITIL対応』や『ISO200000の取得』を課すユーザー企業が出てきた」。

 こうした要求を出すユーザー企業は職種も規模も全く異なるが、いずれも上場企業である。これらの企業は2008年度から日本版SOX法への対応を迫られるため、内部統制の確立を急いでいる。彼らは、アウトソーシングしたシステム運用業務での内部統制の確立に、ITILが極めて有効であることに気付き、ソリューションプロバイダに対してISO20000の取得などを強く求め始めたのだ。

ISO20000取得企業が急増

 こうしたユーザー企業の動きに先手を打つ形で、ISO20000を取得するソリューションプロバイダも相次いでいる。自社の運用サービスがITILに準拠していることを、対外的に認めてもらう“印籠いんろう”の役割を、ISO20000に期待してのことだ。

 2006年11月、富士通サポート&サービス(Fsas)は富士通と共同で、システム運用サービスのISO20000を取得した。佐藤昭博サービスビジネス本部サービス企画部ITILサービス部長は「当社が担当しているのは、顧客のオフィスでシステム運用を請け負うオンサイトのサービス。当社にとって最大の成長分野であり、ISO20000を取得することで付加価値を高めることが急務だった」と言う。

 既にISO20000を取得している企業も、認証範囲の拡大に力を入れる。NECフィールディングは東名阪エリアにおけるハードウエアの保守サービスを対象にISO20000を取得しているが、今春にはそれを全国に拡大する予定。取得対象のサービスにかかわる社員数は3000人以上に及ぶ。「顧客にISO20000の取得をアピールすることで、保守サービスの契約率が高まっている」(NECフィールディングの渡邊新二ITマネジメント事業推進本部長)。同社は地方のユーザー企業に提供しているシステム運用サービスにもITILを適用しており、対象ユーザー企業を拡大していく。

 ほかにも、ISO20000の取得を急ぐ企業は後を絶たない。「最近、運用サービスを提供しているソリューションプロバイダから『短期間でISO20000を取得したいので手伝ってほしい』といった依頼が次々に舞い込んでくる。ユーザー企業から一斉にせっつかれて、ソリューションプロバイダの方が慌てている」(Fsasの佐藤部長)。



本記事は日経ソリューションビジネス2007年2月15日号に掲載した記事の一部です。図や表も一部割愛されていることをあらかじめご了承ください。
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