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 ディープインパクトの「ぶっちぎり」は豪快である。しかし手に汗握る興奮は、むしろ「鼻差」で競うレース展開だ。1月19日早朝(日本時間)の米IBMの第4四半期決算発表までもつれた「IT首位決戦」は、まさにそういうものとなった。

 レースを再現してみる。06年第2四半期までの上期合計では、パソコン売却の後遺症で4期減収となったIBMを、米HP(ヒューレット・パッカード)が26億6400万ドル(約3200億円)引き離す。日本HPのある役員は7月末、はやばやと勝利を宣言した。何十年もチャンピオンだったIBMを抜き、HPが初めて首位に立つとしたのである。だが、ここからIBMが粘る。次々とソフトやサービス企業を買収し、第3四半期の3カ月で6社を手に入れた。その甲斐あってか第3四半期はHPを上回り、毎年最大の売り上げを達成する第4コーナーからの巻き返しにかけた。HPも負けじと米マーキュリー・インタラクティブの買収でやり返した。

 一足先に第4四半期(8~10月)を迎えたHPは、同期に「情報漏洩不正調査問題」が発覚。スキャンダルにまみれたものの、売り上げは好調。3年ぶりに米デルからパソコン首位の座を奪回するなど前年同期比で7.5%伸ばし、06年度を5.7%増の916億5800万ドルで駆け抜けた。この結果、IBMが首位を死守するには、第4四半期を8.5%増としなければならない。

 IBMの第4四半期は、米メリルリンチの予想を5億ドルも上回りHPの第4四半期と同じ7.5%増と追いすがったが、そこまで。わずか2億3400万ドル(約280億円)という「鼻の差」で首位を奪われた()。この先についてメリルリンチは、HPは年率5.2%増、IBMは同3.7%増を予測。両社の売り上げは開くとみる。利益についてもHPの伸び率は高く、その差は徐々に縮まるという「チャンピオン効果」を見ている。

表●売上高と利益(米HPは営業利益、米IBMは税引前利益)の推移
(07~09年は米メリルリンチの予測) 単位:100万ドル
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 両社の事業領域が異なるのも特徴だ()。IBMはサービスとソフトに特化し、高い利益率を狙う。HPは、将来のIT市場の姿にできるだけ適合した領域を選択。IT市場における存在意義を高め、盟主の座を狙う。

図●米HPと米IBMにおける売上高と営業利益のセグメント構成
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