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 開発力ではライバルにリードされている。商談時点で実績のないERPソフトを、どう顧客に売り込むか。劣勢を挽回する決め手は、顧客に食らい付きとことん要望に応える愚直さだった。

=文中敬称略


 日商エレクトロニクスのエンタープライズ営業統括部第一グループマネージャー、田中孝幸は息を弾ませ顧客の元へ駆けていた。2005年のクリスマスが間近に迫った東京・大手町のオフィス街。その顧客、リスクモンスター専務の藤本太一とは1カ月半にわたり丁々発止の商談を続けてきた。「製品の稼働実績がないのになぜ『大丈夫』と言えるのか。無責任じゃないか」と叱責も受けた。交渉事は向こうが一枚上手、ならば顧客の要望を愚直にすくい上げるしか手はない。「藤本専務。たった今メーカーと掛け合って、期日までにソフトの仕様変更をしてもらうよう確約をもらいました」。

 リスクモンスターの会計システム刷新に向けた商談で、日商エレは新興のERP(統合基幹業務システム)ソフト「GRANDIT」を売り込んでいた。日商エレなどSIer10社がノウハウを持ち寄り、インフォベックが開発に反映するコンソーシアム方式の開発・販売体制が特徴の製品だ。ただし当時、日商エレに導入事例は皆無。売れ筋ERPのメーカーという強力ライバルとの商談レースはもつれ、一時は大きくリードを許した。

 日商エレはこうした状況を打破し、2005年末にリスクモンスターから内定を受ける。後に藤本をして「このメンバーが担当するからこそ、システムに魂が入るんだよ」と言わしめた“愚直な”姿勢が、最後の最後で物を言った。





本記事は日経ソリューションビジネス2007年2月28日号に掲載した記事の一部です。図や表も一部割愛されていることをあらかじめご了承ください。
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