Q4 ITの統制に使う運用管理ツールの選択で注意すべき点は?
ITの統制を本格的に整備するとき運用管理者が実施すべき作業は一般に膨大になる。その作業を個人のスキル(例えば,Excelで作った表で管理したり,個別ログを手作業でチェックしたりするなど)でカバーすることは長い目でみれば非現実的でツールが不可欠である。しかし,運用管理ツールの数は多い。どこに注目してそれら多数の製品の中から内部統制の整備に使うツールを選択すればよいのだろうか。
小さく始めて大きく育てられるか
第一に重要になるのは「必要な部分から小規模に導入できるか」という点である。内部統制の整備では,ツールの導入にあまり時間をかけられない。内部統制報告書は,2008年4月から始まる会計年度の分から必要になるため,それまでに基本的な対応を進めることが求められる。加えて,ITの統制では運用管理の方針を決める,といったことが必要で,経営者や業務担当者などとの協議にも時間がかかる。
このように短い期間では,重点的に対応する個所を決めて,そこに小規模でも導入できるツールであることが大切になってくる。
第二は,将来の拡張性を備えているどうかである。最初はシステムの一部を管理するツールを導入するにしても,その後で別の部分を管理するときに全く別のツールが必要になるようでは運用管理の負荷がかえって高まる。「小さなところから始めても,システム全体に適用範囲を広げていける」ツールが理想である。
ツールの習熟に時間をかけられない
第三は「テンプレートなどで,基本的な構成がすぐ実現できるか」だ。運用管理ツールは高機能なほど,それに使い勝手が追いついていない傾向がある。そのように機能だけが豊富な製品を導入すると,ツールの教育に時間や費用がかかるほか,長期的に運用管理の負荷も増えてしまう。
経験が浅くてもすぐに使えるツールにはいくつか特徴がある。基本的な項目をテンプレート化して用意してあったり,必要な機能から利用可能になったりしているなどである。その上で,スキルの高い運用管理者がカスタマイズできる柔軟性があればベストだ。
JP1は,このような特徴を満たす運用管理ツールである(図5)。同社はJP1を「必要なところから導入できるポイント・ソリューションであるとともに,システム全体の統合管理を実現するトータル・ソリューションである」と位置づけている。
|
|
図5●内部統制整備に使うツール選択のポイントの例 小規模に始めて適用開始の2008年4月までに基本的な体制を整えつつ,将来本格的に展開できるツールを選ぶことが重要である。テンプレートで基本的な構成が可能だとさらに便利。JP1はいずれも実現している [画像のクリックで拡大表示] |
例えば,「資産・配布管理」「セキュリティ管理」「ジョブ管理」などについて,それぞれを部分的に導入できるとともに,各機能を実現する製品を追加していけば,複数の機能を統合的に管理できる設計になっている。
基本的な設定を支援するテンプレートについてもJP1では各製品が用意しており,インストールしてすぐ運用管理が開始できる。テンプレートはもちろんカスタマイズ可能である。
また,JP1は14年間バージョンアップを続けてきた製品で,日立製作所が国内で開発・サポートしている。これは企業が長期的にITの統制を整備していく上で,大変心強い。