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 一時的とはいえ、「日本版SOX法(J-SOX)」が2007年度から2008年度にかけてERP(統合基幹業務システム)商談の逆風になる可能性が出てきた。最初の監査が2年後に迫り、既存システムを延命させるユーザー企業が増えると見られるからだ。特に好調が続く中堅・中小企業向けのERP商談は今後、丁寧な対応が求められる。中堅・中小企業はこれからJ-SOX対策に本腰を入れる。その時に、ERPで解決したい経営課題とJ-SOX対策をどう両立させるのか、ユーザー企業を納得させる提案が求められる。

ユーザー企業の背中を押すERP提案法

 中堅・中小企業向けのERP(統合基幹業務システム)ビジネスが絶好調だ。市場は2ケタ成長を続けており、多くのERPベンダーがまさに我が世の春を謳歌している。そんな中、小さな暗雲のような“不穏な動き”が表面化してきた。「突然、止まる商談」が出てきたというのだ。

 「大手メーカーの製造子会社から、ERP導入の無期延期を告げられた」。あるソリューションプロバイダの営業担当者は、2006年暮れにこんな経験をした。商談を進めていたそのユーザー企業は2007年度内の基幹業務システム刷新を目指し、2006年秋には複数のソリューションプロバイダから提案を募集。予算確保にメドを付けた矢先だった。突如、ERPの導入延期へと方針を転換したのは、「当面、システム刷新は見送るように」と親会社から通達を受けたからだ。

 連結会計パッケージを提供するあるベンダーも「大手企業グループ向けに進んでいた商談が、グループの中核企業の方針で、2月に入ってから白紙に戻った」と明かす。

 二つの商談が止まった背景は同じ。日本版SOX法(J-SOX)への対応に本腰を入れたユーザー企業が、制度導入が目前に迫った2007~2008年度に基幹システムを刷新するリスクを憂慮したのである。

ERPより「レガシーを延命」

 受発注や購買から会計までを一貫したマスターで処理できるERPは、本来なら「会計の虚偽リスクを排除する」というJ-SOX対策では真っ先に売れてよい商材だ。実際に、対策に先手を打った一部企業向けのERP商談では、J-SOXが追い風となった。三菱電機インフォメーションシステムズ(MDIS) ERP事業部の藤本俊平事業部長は、「2006年度は数年前に基幹システムの刷新を見送っていた企業が、J-SOXに背中を押されてERP導入を決断した商談が増えた」と証言する。

 しかしここに来て、システム刷新を思いとどまる冒頭のようなユーザーが出てきた。なぜなら、J-SOX対応プロジェクトの途中でシステムや業務プロセスが変われば、文書化などをやり直す必要があるからだ。初めての内部統制監査まで2年余りと余裕がないため、顧客は既存の基幹システム自体を変更せず、主に手作業で問題点を手当てするという対策を選びがちになる(本誌2007年2月15日号の「スペシャルレポート」を参照)。

 特に注意を要するのは、これまで快進撃を続けてきた中堅・中小企業(SMB)向けのERP商談。関係者の話を総合すると、年商30億~1000億円の中堅・中小のERP顧客や潜在顧客の中で、上場企業やその連結対象子会社が占める割合は5~8割に達する。

 中堅・中小企業がJ-SOX対策に取り組むのは、まさにこれから。前向きにERP導入を検討していたのに、突然方針を転換するケースが増えかねないのである。



本記事は日経ソリューションビジネス2007年3月15日号に掲載した記事の一部です。図や表も一部割愛されていることをあらかじめご了承ください。
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