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 次期システムを検討する最中に起こったシステム障害。ニューコムは、顧客企業との信頼関係が大きく揺らぐ局面を迎えた。しかし大手と競ったコンペが、顧客との距離を再び縮めた。

=文中敬称略


 「トラブルの収束まで、よく頑張ってくれました。しかし、なぜこうなったのか。原因はきちんと総括しましょう」。

 まつのの取締役物流管理本部長を努める重藤悦明は、ニューコム社員たちの努力をねぎらいながらも、厳しい言葉を忘れなかった。まつのが新しい取引先との受発注作業を始めた、2006年2月のある日。機能を拡張した基幹業務システムは、初日からトラブルに見舞われたのだ。ニューコムで担当責任者を務める、 SI事業部サービス&サポートグループ長の輕部滋には言い分もあったが、まずは障害を謝罪するよりほかはなかった。

「我々はシステム部門の代行」

 まつのは、7~8年前に生鮮農作物の卸売り業に参入した流通ベンチャー。ファストフードやレストラン、居酒屋チェーンなどを顧客にして、各店舗に野菜や果物を小分けして配送する事業で急成長を遂げている。

 2006年度の売上高は83億円強。特筆すべきはこの5~6年で3倍以上に成長した一方、社員数を横ばいで保ったことだ。社長の松野貞文が音頭を取ってIT投資に力を注ぎ、自動化を徹底してきた成果である。

 そして、その基幹業務システムを2000年から預かってきたのが売上高5億円強、社員40人余りのニューコム。サーバーの運用受託から始まり、現在は業務システムの開発も一手に預かっている。いわば「顧客の情報システム部をそっくり引き受けた」(輕部)ような関係を築いてきた。

 だからこそ、ニューコムの社員たちはシステム障害時に我が事のように頑張れたのだろう。輕部たちはサーバーがあるニューコム本社に泊まり込み、復旧作業に力を尽くした。まつののスタッフも受発注処理などを手作業でこなす緊急対応が続き、重藤が不眠不休で陣頭指揮に立った。互いが協力したことで、修羅場はなんとか4~5日でくぐり抜けた。

 しかしこのシステム障害を機に、重藤の中ではニューコムへの懸念が膨らんでいた。重藤にすれば、仕様に対するニューコムの理解不足が障害の原因だった。しかも、開発日程はタイトとはいえ、ニューコムは満足なテスト工程も確保できず本番に突入した。

 「この先も、彼らの技術力に頼れるだろうか」。重藤はニューコムとの関係をゼロから見直す考えに傾いていった。



本記事は日経ソリューションビジネス2007年7月15日号に掲載した記事の一部です。図や表も一部割愛されていることをあらかじめご了承ください。
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