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 AppleとAT&Tの間の蜜月はもう終わってしまったのかもしれない。

 Appleは米国時間7月25日,第3四半期の業績を発表し,iPhone発売後30時間の販売台数が27万台だったことを明らかにしたが,AppleとAT&Tは同日の夕方,まったく対照的な見解を述べていた。AT&Tは今週に入ってから,同じ期間中に14万6000台のiPhoneがアクティベートされたと発表していた。

 AppleとAT&TがiPhoneの発売に際して用意した革新的なアクティベーション方式のおかげで,初期のiPhone顧客の多くは新たに購入したiPhoneを自宅に持ち帰り,リビングルームでくつろぎながら容易にアクティベーションを行うことができた。もっとも,iPhoneのアクティベーションに苦労し,疲れる週末を過ごした顧客も存在していた。

 AppleとAT&Tは当初いずれも,アクティベーション時の問題に遭遇したのは一部の顧客のみだったと述べていた。AT&Tは「大多数の」顧客がアクティベーションプロセスを問題なく終えたと述べ,Appleは「ほんの一部の」顧客がアクティベーションの遅れによる影響を受けたと述べていた。

 しかし,Appleが販売したiPhoneのうち,まだアクティベートされていないものが12万4000台あるというのはどういうことなのだろうか。AppleとAT&Tは,25日の電話会議の後しばらく異なる見解を示している。

 AT&Tの広報担当者であるMark Siegel氏は,「われわれの記録では,6月29日の午後6時から30日の真夜中までに14万6000台のiPhoneがアクティベートされた」と述べるとともに,「Appleの発表も間違ってはいない」と述べている。

 台数の差について説明を求めたところ,Siegel氏は最初,3つの要因を挙げた。同氏はまず,Appleの業績報告にある補足説明を引用しながら,AppleがiPhone自体の販売数だけではなく,そのアクセサリの販売数も含んだことを挙げた。

 しかし,Appleの広報担当者であるSteve Dowling氏は,補足説明はiPhoneアクセサリの売上のみに言及しており,販売台数とは関係がないと述べている。また同氏は,Appleの業績報告にある27万台の数字はすべてiPhone本体のものであり,ヘッドセットやケースなどのアクセサリは含まれていないとも述べている。

 AT&Tは次に,AppleのiPhone販売台数27万台には,Appleのオンラインストアで販売されたものも含まれていると述べた。Appleのオンラインストアで注文されたiPhoneは配達までに2?4週間かかるため,発売開始後最初の週末にアクティベートすることは当然不可能であったというわけだ。

 しかし,Appleの最高財務責任者(CFO)であるPeter Oppenheimer氏は電話会議において,27万台という数字は,AT&Tの小売店販売網を通じて販売するために同社に販売されたiPhoneと,Appleの小売店で販売されたiPhoneのみを計上したものであるとはっきり述べた。また,Appleは後ほど,同社のオンラインストアを通じて販売されたiPhoneは27万台という数字に計上されていないことを確認した。

遅延と転売目的購入者が原因?

 AT&Tは最後に,販売数とアクティベーション数の違いは時間差のせいだとも説明した。Siegel氏は「数に差がある理由の1つとして,非常に多くの人々が,購入した翌日にアクティベートすることを選んだということが考えられる。それはかなりあり得ることのように思える」と述べていた。

 これは可能性のあることだとはいえ,定量化するのは非常に困難だ。iPhoneを発売開始日に購入するために行列していた人々や,その翌日に購入した人々の熱意を考えると,10万人を超える顧客が,新しいおもちゃを手に入れながら,アクティベーションを行うのを1日待つということは考えにくい。

 しかし,eBayやCraigslistでの転売を目的として購入されたiPhoneの多くは,その発売後30時間以内の入札数が思っていたほど伸びなかったせいで,アクティベートされていなかったはずだ。また,大して需要のなかった場合には,アクティベーションすることなしに未開封のまま返品されたiPhoneもあったはずだ。

 Siegel氏はまた,AT&Tに割り当てられたiPhoneが6月30日にあっという間に売り切れてしまったため,7月1日に同社の小売店で販売するために出荷されたものが30日の販売台数として計上されたことが,数の差異の原因となっている可能性を指摘した。これについては,Oppenheimer氏もその可能性があると考えているようだ。Oppenheimer氏はAppleの電話会議で「業績報告で挙げられたiPhoneの販売台数には,AT&Tに輸送中であった在庫も含まれていただろう」と述べた。しかし,AT&TもAppleも,輸送中であったiPhoneの数を具体的に挙げようとはしなかった。

 電話でのやり取りをしているうちに,当初のアクティベーション問題がiPhoneのアーリーアドプターの間で実際どの程度広がっていたのかという質問に行き着いた。AT&Tは,ごく一部のユーザーに限定された問題だと考えているという,25日の説明を繰り返すだけだった。

 Siegel氏は25日,「われわれは,アクティベーションプロセスが非常にうまく機能したと一貫して述べてきた。アクティベーション問題の影響を受けたのは顧客のほんの一部だけ--はっきり言えばその割合は1桁前半だった。これは非常に小さな割合でしかない」と述べた。

 アクティベーション問題の影響を受けた人々の正確な数が具体的に示されることはないかもしれない。問題が最初に明らかになった際,Reutersは匿名の人物からの情報として,iPhoneの顧客の2%がアクティベーション問題に遭遇したという言葉を引用した。しかし,AT&Tは25日,この数字を公式に認めようとはしなかった。

 この数字が正しく,問題の影響を受けた顧客1人当たりのiPhone購入台数が1台だと仮定した場合,発売開始後30時間以内に販売されたiPhoneの総数の2%は5400台ということになる。この数字は,Appleの発表した販売台数と,AT&Tの発表したアクティベーション数との差異である12万4000という数字には遠く及ばない。アクティベーション問題に遭遇した全員が2台のiPhoneをAppleの販売店から購入していたと仮定しても--ほとんどあり得ない偶然だが--発売開始日の夜とその翌日に販売された数のうちの1万800台分しか説明できない。

 そうなると,両社の発表した数字の差異に対する公式な説明では,10万台以上のiPhoneが発売開始日の翌日の夜に輸送中であったか,もしくはアメリカ中のハイテク好きの家で箱に入ったままアクティベーションされていなかったかのいずれかだったということになるようだ。

 Piper JaffrayのアナリストであるGene Munster氏によると,アクティベーション問題はAT&Tの新規顧客を怒らせた可能性がある一方,これらの問題は迅速に解決されたように見えることからして,長期的なiPhone販売に影響を及ぼすということはまずなさそうだという。同氏は「これはわずらわしい問題だが,人々がこの電話を欲しがっているという事実に変わりはない」と述べている。

 また同氏は,12万4000台の差異は両社にとってストレスの原因となるかもしれないと述べる一方で,AppleのOppenheimer氏が25日にその存在を認めた,AT&Tの月額利用料分配契約について触れ,AT&Tが抱えていたかもしれない問題に対してAppleは埋め合わせを受けているはずだと述べている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ

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