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 内部統制への取り組みを急ぐソリューションプロバイダの前に、さらなる大きな課題が立ちはだかった。受託ソフトウエア開発の会計基準が、プロジェクトの進ちょく度に応じて収益や費用を計上する「工事進行基準」に一本化される時が迫っているのだ。

 2009 年4月とされる適用開始までに残された時間は、わずか1年半。現場への負担が増すことは確実だが、実態が見えないその姿を前に、具体的に何をすべきなのか明確になっていない。迫り来る進行基準という怪物──。それは敵なのか味方なのか。見えざる実態に迫る。



 「進行基準だなんて冗談じゃない。ただでさえ内部統制で大変なのに…」。ある大手ソリューションプロバイダ幹部は、こう本音を漏らす。

 受託ソフトウエア開発に関する会計基準が、プロジェクトの進ちょく度に応じて収益や費用を計上する「工事進行基準」(以下、進行基準)に一本化される。企業会計基準の制定を進めてきた民間組織である企業会計基準委員会(ASBJ)が今年8月30日、「工事契約に関する会計基準」の草案を公開し、受託ソフト開発に原則として進行基準の適用を義務付ける方針を示したのだ。

 対象はプロジェクトの金額や期間を限定しないうえ、企業の上場・非上場や規模を問わない。さらに収益総額や原価総額を、信頼性のあるレベルで見積もっておくことが求められる。適用条件にはあいまいな部分もあるが、顧客の要望に応じて開発する情報システムなら、原則として2009年4月以降は進行基準を適用しなければならない。

 受託ソフト開発の会計処理は、これまでユーザー企業など発注者による検収が完了した時点で完成とし、売り上げと収益を一括計上する「完成基準」が一般的だった。これに対して進行基準は、野村総合研究所(NRI)や富士通など一部企業しか採用していない手法だ。

現場の負担増に危機感

 進行基準への移行は、「国際会計基準とのコンバージェンス(統合)を進めるのが最大の狙い」(ASBJ)。投資活動のグローバル化が進み、海外の投資家が日本企業と欧米企業の財務を比べやすくしようという動きが背景にある。ASBJの豊田俊一主任研究員は、「企業活動の透明性が高まる点でも大きな意義がある」と説明する。

 こうした一連の動きに対して、ソリューションプロバイダの間に強い危機感が生まれている。「間違いなく大変なことになるし、混乱を招きかねない」(大手ソリューションプロバイダ幹部)。

 なぜ進行基準への移行が彼らを脅かすのか。それは進行基準に移行することで、さまざまな負担が重くのしかかるからだ。



本記事は日経ソリューションビジネス2007年9月30日号に掲載した記事の一部です。図や表も一部割愛されていることをあらかじめご了承ください。
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