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 要望を満たすソフトが見つからない─。そんな顧客の悩みを、長年の信頼関係で聞き出し、本質的なニーズをつかんで優れた案を提供。逆提案や粘り強い交渉を続け、本命の座を勝ち取った。

=文中敬称略


 「うまくいけば契約にこぎ着けるチャンスだ」。2005年8月のある日、NECインフロンティア九州支社第二営業部でグループリーダーを務める柴原知博は、はやる気持ちを抑えながら、顧客の元へと向かう営業車のハンドルを握りしめた。

 柴原の顧客とは、弁当店「ほっかほっか亭」と定食屋「やよい軒」のフランチャイズ事業を展開しているプレナスである。プレナスは、約1000人の社員が利用するグループウエアの入れ替えを、この1年ほど前から検討していた。さらに受付担当者が使う来客管理システムも刷新し、社員のスケジュールと会議室の予約内容をグループウエアと連携させる構想もあった。

 それまでプレナスはリンコムのグループウエア「リンコムネクスト」を使用していたが、旧版だったためメーカーのサポートが終了。大容量のデータをやり取りすると動作が不安定になる問題も抱えていた。このため新版へのバージョンアップも選択肢に入れつつ、グループウエアを選定していた。

 ところが、プレナスはサイボウズの「ガルーン1」を含む6社のグループウエアを比較したものの、納得ゆく製品を見つけられずにいたのである。そこで悩んだ末、NECインフロンティアの柴原に相談を持ちかけたのだ。

“落選”した製品を提案

 柴原に1本の電話を入れたのは、プレナスのシステム企画課の橘井英二だった。柴原はプレナスを担当して16年になるうえ、橘井とはPOS(販売時点情報管理)システムをプレナスに納入したこともあり気心が知れている。橘井にとって柴原は頼みの綱だったのだ。

 折しも橘井から柴原に連絡があった7月は、サイボウズがグループウエアの新版「ガルーン2」を発売した直後。ガルーン2には書き込みにコメントを残す「フォロー機能」が加わるなど、情報共有をスムーズにする工夫が加わっていた。

 「最新版なら使い勝手が改善されているのでニーズに合うかもしれない」。電話口で柴原は橘井にガルーン2を紹介したが、橘井はあまり乗り気ではなかった。「新バージョンとはいえ、既に比較・検討して選定対象から外した製品。でも柴原さんが言うのだから一応は説明してもらおうか」。

 ところが、駆けつけた柴原からガルーン2の詳しい説明を受け、橘井の考えは変わった。「使い勝手が改善され、パソコンの操作に不慣れでも情報を共有しやすい。これなら店舗スタッフにも活用してもらえそうだ」。

 カスタマイズを要する部分もあったが、2005年8月の時点で橘井の気持ちはガルーン2に傾いた。ガルーン2には60日間の試用期間があるので、プレナスは一部で試験的に導入し、製品の細かな評価を始めた。ただし、この時点で橘井は、以前から利用していたリンコムネクストのバージョンアップも視野に入れていた。



本記事は日経ソリューションビジネス2008年1月30日号に掲載した記事の一部です。図や表も一部割愛されていることをあらかじめご了承ください。
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